
愛媛県西種子川。数多くの渓谷を有する四国の中でも、西種子川は特に沢登り向きと言えるでしょう。うっすらと青みを帯びた水流が美しく、変化に富む渓谷はまさに沢登りのためにあると言っても過言ではありません。
なぜ西種子川は魅力的なのか?
1.名瀑・魔戸の滝

西種子川入り口の魔戸の滝
登山口から入渓地点の間に現れる名瀑・魔戸の滝。1Fの落差は48mで、迫力満点です。上部に連続するゴルジュを含め200mもの落差があるという魔戸の滝。ゴルジュまでを一望することはできませんが、200mという数値に期待が高まります。
2.変化に富んだ渓相

滝の連続する西種子川
西種子川の魅力の一つは、変化に富んだ渓相です。滑床からゴルジュまで様々な地形があり、飽きることなく遡行できること間違いなしです。次々に現れる滝には様々な表情があり、単純に景観だけをとっても非常に魅力的な沢と言えるでしょう。
滝の出現頻度は高く、それぞれが魅力的な景観なのですが、高巻きが多くなるのが少し難点。しかし、渓谷美は文句無しで、足を止めて眺めたくなるような景観が次々に現れます。
3.コバルトブルーの水流

澄み切った西種子川の水流
四国の水は澄んでいて、多くの渓谷で美しい水流を楽しめるのですが、西種子川はその中でも特に水流の美しい沢といえるでしょう。四国の沢は、その大半が緑がかった水流を湛えているのですが、西種子川は青みがかったコバルトブルーの水流で満たされ、清涼な空間をつくりだしています。
4.迫力満点の大滝

西種子川の核心、20メートルの大滝
入渓から3時間ほど、西種子川の中央付近に差し掛かると、腰ほどまでの水流をたたえた淵をもつ、大滝が姿を現します。
下流の淵を腰まで水に浸かりながらの遡行で超え、滝直下の左岸にあるバンドから大滝の正面まで登れるのですが、フリクションが悪い場合は身動きが取れなくなることもあるので、淵よりさらに50mほど下流から左岸を大きく高巻くのが無難かもしれません。
大滝を越えたあとも美しい渓相が続きます。源頭部までは大滝から3時間ほどです。源頭部からは西赤石山や物住頭まで容易にアクセス可能なので、体力に余裕があればついでに訪問するのがおすすめです。
西種子川の沢登り
新居浜市街地から、登山口の魔戸の滝駐車場までは30分ほど。狭隘な山道でのアクセスですが、交通量は極めて少ないため、安心して運転できます。登山口から魔戸の滝までは10分ほど。魔戸の滝から30分ほど標高を上げ、670m付近からの入渓になります。
- 入渓地点。上段の滝右岸から上部のバンドへ※1
- 入渓直後は沢沿いを快適に遡行可能
- 高巻きの必要な滝が多い
- 遡行開始から1時間ほどで到達する開けた空間。左のほうへ
- 大滝下部。直下のバンドから大滝正面まで登ることも可能※2
- バンドを登る
- 大滝上流からゴルジュが多くなるが、巻いた方が無難。
- 水流の美しさは絶品
- 水流が美しい
- 様々な滝が現れるがルートはわかりやすい
※1 標高670mを目安に、登山道から沢へと下る。少し上流方向にトラバースしながら標高を下げるイメージで、歩きやすいところを歩けば自然とこの場所に到達します。写真では上段にあたる、大きな釜をもつ滝の右岸を高巻きます(少しわかりづらいので注意深く探す必要がある)。右岸を高巻き、上部の滝をやり過ごしたら、バンドにある残置ボルトから15m懸垂下降して沢に戻ります。
※2 バンドはフリクションが悪いとかなり登りにくい。フェルトソールであればなんとかなるものの、素直に大滝直下の淵の50mほど下流から左岸を高巻くのが無難かもしれません。
大滝を超えるてからは、不明瞭なルートは無いため、安心して遡行可能です。ルート全体を通し高巻きの必要な滝が多いのですが、巻道はわかりやすいので安心して遡行できます。
技術的に難しい場所は少なく、入渓地点の高巻きと大滝さえ安全に越えれば初心者でも遡行可能です。源頭部までは7時間ほど掛かりますが、途中何箇所か登山道に抜けられる場所もあります。入渓地点については標高670m地点を通り越して看板のある峠まで登り、そこから管理道路を使って高度を下げることで、懸垂下降地点より上流200mくらいの場所から安全に入渓できます。