
大峰を代表する険谷「白川又川」に「大黒構谷(おんぐろこだに)」という支流がある。白川又川との分岐直後から険悪なCS滝をかけ、地形は急峻で高巻きも容易ではない。大黒構谷の遡行記録はネット上でいくつか確認できるが、核心セクションには未知が残されている。
大黒構谷|キャニオニング|2025,05,03
メンバー:ゴルジュスズキ|テル
白川又川沿いの林道ゲートから歩くこと2時間。林道と大黒構谷が近づくセクションから入渓する。昨日までの雨により、増水しているが、これはこれで迫力があって良い。入渓直後からゴルジュ地形が繰り返し現れるが、下降自体は快適だ。程よい位置の立木から懸垂下降したり、飛び込みながら前進していく。
しばらくすると、側壁が垂直に立ち上がり、20m滝が暗闇に水を落としている。ここからが大黒構谷の核心部だ。三つの滝から構成される、決して大きくは無いゴルジュだが、その内容は濃く、退路を残しながらの前進やサイフォンの処理、エイドトラバースなど、なかなかテクニカルなものだ。
核心ゴルジュの通過は一筋縄ではいかず、本流の白川又川にたどり着いたのは16時過ぎ。水平距離わずか1kmに満たない区間に、入渓から6時間も要する濃密なものだった。
- 林道横のヒョングリ滝から入渓
- 見栄えの良い中規模滝が連続する
- この辺りは日当たりが良く気持ち良い
- 核心ゴルジュ入り口
- 暗黒空間に水を落とす20m
- 20mの下降
- 昨日の雨で増水している
- 5m下のCSがサイフォンになっている
- 核心ゴルジュ最下部20m
- 左が本流
- 大黒構谷最下部のCS5m
- 白川又川に合流
下降図
総評
遡行・下降対象となるセクションは短いが、本流分岐から即座に始まるゴルジュ〜核心ゴルジュにかけての空間は威圧感満点。今回は増水中での訪問だったこともあり、水流の処理が必要となるテクニカルなキャニオニングとなったが、平水であればもう少し素直に下降できたかもしれない。ゲテモノ系ゴルジュとしてお勧めできる一本で、ゴルジュ愛好家なら一度は訪れるべき。