
四国界隈の難ハイキングコースとして有名な石立山。多くのハイカーを受け入れるこの山に「百間滝」と呼ばれる大滝が存在する。四国を東西に貫く石灰岩大地の中心ともいえる石立山、石灰岩の岩盤を落差50メートル一気に落とす百間滝を一目見ようと沢登りしてきた。
百間滝

百間滝
以前遡行したことのある北谷から百間滝にアプローチする。本流から北谷に分岐してから二俣までのセクションは、渓谷の造形としては結構な迫力がある。なぜこれっぽっちの水流でこれほど大きな渓谷になるのか不明だが、侵食だけでなく溶食により形を変える石灰岩の為せる技なのだろうか。
途中、一部泳いだりロープを出したりと、水線遡行は容易ではない。前回は三月だったが今回は一月なのでもっと寒い。途中、雪が舞い始めたときは、天気予報を確認しなかった今朝の自分を恨んだ。
二俣を左に進み百間滝を目指す(右に進むと「幻の大滝」がある)。以前、二俣を通過したとき左俣の、彼方まで続く連瀑帯を目にして、再訪を決意した経緯があるのだが、ここから百間滝までの区間はほぼ連瀑帯となっている。残念なことに、左岸がひらけた地形で簡単に高まけてしまう。シーズンインを前に連瀑帯の登攀でもして体慣らししよう、という思惑は外れた。
左岸をサクサクと高巻いていくと百間滝に到着。小水量の渓谷なのは分かっていたがまさか完全に渇水しているとは予想外だ。石灰岩の岩壁がなんとも独特のオーラを放っているが、どうやら水の侵食というよりは断層が滝になっているらしく、石灰岩ならではの有機的な造形などは見られなかった。
滝の落ち口を確認すべく右岸の谷状地形から岩壁上部まで高巻きする。このあたりから登山道に合流することもできそうだ。ハイキングで百間滝に行くのならこのコースが楽だろう。
落口はやはり水枯れしているが、局所的に石灰岩らしい造形もある。白い岩盤と全て葉が落ちた木々が寒々しいうえに気温はどう考えても氷点下なので、足早に先に進む。少し先で渓谷の岩質が変わり、崩落地帯になった。登山道と合流する場所から下山。
石灰岩の小水量渓谷は渇水期に涸れ沢になるのが残念。ハイシーズンに沢登りするにはちょっと物足りない渓谷で、ハイキングで滝鑑賞に訪れるのが正解だろう。
- 本流からの分岐直後
- 渓谷の造形が大きい
- 二俣を左へと進む
- 10m前後の滝が続く連瀑帯
- 百間滝
- 造形に緻密さはない
- 百間滝落ち口
- 百間滝の上流で岩盤が変わる