「前川大滝沢」は、日本を代表するデート沢として全国に名を馳せる美渓だ。尿前沢(しとまえさわ)に続き、綺麗な渓谷巡り遠征の二本目として前川大滝沢を選んだ。
前川大滝沢(滑川大滝登攀)|沢登り|2025.10.2
メンバー:ゴルジュスズキ
入渓直後からため息が出るような滑床となる。時にゴーロを交えながら一時間ほど遡行していくと、彼方に滑川大滝がみえてきた。
滑川大滝に訪れるのは実は二回目のことで、私が沢登りを始める前に滝愛好家として訪問したことがある。滑川大滝は落差80mの大スラブ滝だ。最下部の幅が50mはあろうかというスケールで、滑らかな岩盤を流れ落ちる水流は優雅そのもの。
前日にまとまった雨が降り、渓谷内の水流には若干の濁りが混じっている。滑川大滝の登攀は水線勝負が必須に思え、高巻いてもいいかな、と逃げ腰だったが、実際に見てみるとなんだか登れそうだ。
35mロープしか持参していないので、とりあえずフリーで登り始める。途中から1ピッチロープを出し、中間付近のテラスまで。フリクションが良く快適に登攀できるのは良いが、リスがほとんど上向きで、ソロ登攀の開始点が構築しにくい。
テラスから上部を見上げる。左の水流に突っ込むと水圧に難儀しそうな予感がする。そして、水温が結構低く長時間濡れていると足先感覚が失われスラブ登攀が難しくなるので、水に濡れなさそうな右の水線横を登り、最終的に落口に抜けるラインを選んだ。
テラス付近から少しトラバースし、ロープを出す。登るほどに岩盤は脆弱になり、傾斜が増してくると浮石の集合体のような壁になった。想定していた水線横はボロボロの垂壁を5mほど登攀する必要がある。岩がボロすぎて剥がれるイメージしか湧かないのと、全てのプロテクションが曖昧な状況のなか突っ込む気になれず、妥協して右のブッシュに抜ける、大滝登攀なのか高巻きなのかよく分からないラインに変更。
あまりにもボロいので超慎重に登っていたら上部2ピッチで三時間以上もかかってしまった。三時間のうち五時間くらいはプロテクションを探していたように思う。
滑川大滝上部で、渓相は一層見どころが多くなる。大滝の登攀に時間がかかりすぎて陽が傾いてしまったのが残念ではあるが、前川大滝の世界観を存分に満喫しながら遡行していく。co1325の支流にて脱渓、よく整備された登山道で下山した。












総評
前川大滝沢には、滑床と滑滝の世界観が凝縮されている。滑川大滝はそれ単体でも訪問の価値があると断言できる。下山路も快適かつ、入渓地点すぐ近くに温泉があるなど、至れり尽くせりの間取りも人気を集める理由だろう。
滑川大滝の登攀は左水線を行くのが正解のようだ(下山後調べたらこのラインを登攀した記録がある)。平水時ならこちらの方がスッキリと登れそうに思う。35mロープでは不自由極まりないので50mロープ以上推奨。
遡行図

