惣滝(大倉谷)|キャニオニング

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妙高山には「惣滝」という落差80mの大滝がある。かつては観光地として遊歩道が整備され、多くの人がその姿を間近で眺めたようだが、現在は通行止めとなっている。

私は以前から、この惣滝を訪れてみたいと思っていた。大岩壁を一直線に落ちる滝の美しさはもちろんだが、滝を正面に望む場所に源泉掛け流しの野湯があるらしいのだ。

日本屈指とも言えるロケーションにある野湯に入るため、今回はキャニオニングでアプローチしてきた。

惣滝(大倉谷)|キャニオニング|2025,10,17
メンバー:鈴木|tamoshima|たな

今回のメンバーは、日本で一番沢に情熱を燃やす漢・tamoshima(大恋愛中)夫妻。キャニオニングは初体験とのことだが、いきなり惣滝80mのラペルからスタートすることに。下部50mはオーバーハングした大空間で、滝の飛沫を浴びながらの空中懸垂になる。宙ぶらりんの状態でよく見ると、少し下流の側壁のたもとに、例の野湯が見えていた。

野湯は、立ち入り禁止とは思えないほど丁寧に整備されており、湯温はおよそ40度。ロケーションも湯加減も完璧だ。オーバーハングした側壁の下、まるで洞窟のような空間から、80mの大滝と紅葉に染まる妙高山を一望できる。普段は長湯が苦手な私だが、あまりの心地よさに一時間以上も湯に浸かってしまった。

惣滝の下流にはゴルジュセクションが隠れている。沢登りでの突破は難しい地形のため、ついでに開拓する計画だ。名残惜しいが野湯を後にし、ゴルジュへと向かう。

惣滝下流のゴルジュは、主に二つの滝で構成されている。キャニオニング初心者の夫妻にロープワークを教えながら、慎重に下降していく。二つの滝を抜けると、岩屑で埋め尽くされた水路となり、ゴルジュは終わりを迎えた。

そこからわずか5分も歩くと、もう一つの野湯「燕温泉 河原の湯」が現れる。キャニオニングの途中で温泉に入り、脱渓後にも再び湯に浸かれる。なんとも贅沢な渓谷だ。惣滝の世界観を、これ以上ないほど満喫することができた。

総評

贅沢極まりないロケーションの野湯。大滝・ゴルジュと、渓谷の魅力も十分で、短いセクションではあるが存分に楽しむことができた。

惣滝の場所