
コンセプト
私にとって、『渓谷登攀(大西良治 著)』が沢登りの概念そのものであるように、『ヒマラヤ悪魔の谷(NHK)』が探検モチベーションそのものであるように、写真や映像には人の心に強く訴えかけるエネルギーがあります。数年前まで普通のハイカーだった私が、渓谷を自由に飛び回れるようになったのも、先人たちの写真や映像からエネルギーをもらう、幸運に恵まれたからこそです。
私自身、いろいろな渓谷を訪れて改めて実感するのは『より特別な世界は、より困難の先にある』ということ。私が尊敬してやまない大西良治の言葉のとおり、困難を越えた先には必ずと言っていいほど、魂を揺さぶる世界が待っているのです。これは、『渓谷登攀』や『ヒマラヤ悪魔の谷』が特別な世界を私に教えてくれたという、原体験とも一致するものです。
この濃密な世界は、SNSや、ブログで伝え切れるものではありません。 ”険谷一本ごとのドラマや美しさを、詳細に、マニアックに表現することこそ、渓谷の魅力を伝える最良の方法だ” その思いが『険谷』シリーズの着想となっています。
『険谷』シリーズは、渓谷一つにつき一冊の対となる、写真集であり、トポであり、遡行記録です。私自身の、そして私の友人たちの、魂を込めた遡行の全てが、一冊ごとに収録されます。自費出版だからこそできるマニアックな、そして、これまで謎に包まれていた、渓谷の深淵に展開される『特別な世界』をぜひ体感してください。きっと、これから渓谷に行くあなたの、もしくは過去行きたかったあなたの、モチベーションになると信じています。