
沢登り・キャニオニングの装備

主だった渓谷は踏破され、これ以上の大物は残されていないとすら思われていた台湾に、残されていた怪物。台湾の渓谷を開拓し尽くした大西良治をして『恰堪溪(チャーカンシー)と並ぶ台湾珠玉の一本』と称賛する渓谷。2024年11月・2025年4月の2回の遠征における延べ14日間の奮闘により我々が解明したのは渓谷全体の2/3程度。中流以降は一日に数百メートルしか前進できない険しい空間が続き、常にリスクコントロールしながら深淵へと踏み込んでいくことになる。
『大理石の渓谷』なんとも魅力的なキャッチフレーズに惹かれ、いつかは訪れたいと思っていた台湾東部の渓谷 三桟南渓。上部ゴルジュでは、垂直に聳える数百メートルの大側壁が異空間を作り出す。
私にとって、『渓谷登攀(大西良治 著)』が沢登りの概念そのものであるように、『ヒマラヤ悪魔の谷(NHK)』が探検モチベーションそのものであるように、写真や映像には人の心に強く訴えかけるエネルギーがあります。数年前まで普通のハイカーだった私が、渓谷を自由に飛び回れるようになったのも、先人たちの写真や映像からエネルギーをもらう、幸運に恵まれたからこそです。
私自身、いろいろな渓谷を訪れて改めて実感するのは『より特別な世界は、より困難の先にある』ということ。私が尊敬してやまない大西良治の言葉のとおり、困難を越えた先には必ずと言っていいほど、魂を揺さぶる世界が待っているのです。これは、『渓谷登攀』や『ヒマラヤ悪魔の谷』が特別な世界を私に教えてくれたという、原体験とも一致するものです。
この濃密な世界は、SNSや、ブログで伝え切れるものではありません。 ”険谷一本ごとのドラマや美しさを、詳細に、マニアックに表現することこそ、渓谷の魅力を伝える最良の方法だ” その思いが『険谷』シリーズの着想となっています。
『険谷』シリーズは、渓谷一つにつき一冊の対となる、写真集であり、トポであり、遡行記録です。私自身の、そして私の友人たちの、魂を込めた遡行の全てが、一冊ごとに収録されます。自費出版だからこそできるマニアックな、そして、これまで謎に包まれていた、渓谷の深淵に展開される『特別な世界』をぜひ体感してください。きっと、これから渓谷に行くあなたの、もしくは過去行きたかったあなたの、モチベーションになると信じています。
十粒溪(shílìxī)は台湾西部に位置する中規模の渓谷で、中部〜下部にかけて未解明ゴルジュが残されている。中規模といっても「台湾では」という前置きがつくもので、日本の感覚からすれば集水域20km2くらいの水量があって結構な迫力だ。
十粒溪(shílìxī)|キャニオニング|2024,11,11〜14
メンバー:Jasmine Li・林冠廷・Huan Ruei Wang・大西良治・鈴木助・大木輝一
ゴルジュクラブ(GORGE CLUB)は国内外で活動する、ゴルジュ開拓者集団です。
称名川 下ノ廊下 遡行|融雪沢大ゴルジュ 遡行|剱沢 遡行 ほか
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