沢登り|全国

険谷シリーズ|渓谷一本につき一冊の写真集

     

コンセプト

私にとって、『渓谷登攀(大西良治 著)』が沢登りの概念そのものであるように、『ヒマラヤ悪魔の谷(NHK)』が探検モチベーションそのものであるように、写真や映像には人の心に強く訴えかけるエネルギーがあります。数年前まで普通のハイカーだった私が、渓谷を自由に飛び回れるようになったのも、先人たちの写真や映像からエネルギーをもらう、幸運に恵まれたからこそです。

私自身、いろいろな渓谷を訪れて改めて実感するのは『より特別な世界は、より困難の先にある』ということ。私が尊敬してやまない大西良治の言葉のとおり、困難を越えた先には必ずと言っていいほど、魂を揺さぶる世界が待っているのです。これは、『渓谷登攀』や『ヒマラヤ悪魔の谷』が特別な世界を私に教えてくれたという、原体験とも一致するものです。

この濃密な世界は、SNSや、ブログで伝え切れるものではありません。 ”険谷一本ごとのドラマや美しさを、詳細に、マニアックに表現することこそ、渓谷の魅力を伝える最良の方法だ” その思いが『険谷』シリーズの着想となっています。

『険谷』シリーズは、渓谷一つにつき一冊の対となる、写真集であり、トポであり、遡行記録です。私自身の、そして私の友人たちの、魂を込めた遡行の全てが、一冊ごとに収録されます。自費出版だからこそできるマニアックな、そして、これまで謎に包まれていた、渓谷の深淵に展開される『特別な世界』をぜひ体感してください。きっと、これから渓谷に行くあなたの、もしくは過去行きたかったあなたの、モチベーションになると信じています。

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剱沢(剱大滝|剱沢大滝)|沢登り

     

”究極の観光旅行”

剱沢は日本屈指の険渓として沢ヤの憧憬をあつめ、沢登り人生の目標に掲げる者も多い。にもかかわらず、50年ほど前に初遡行がなされて以来その内部を通過した者は未だ100人に満たないという。300メートルはあろうかという側壁の中を大水量で溢れさせ大滝を複数内包する、国内では稀な大ゴルジュである剱沢に、いち沢ヤとして私も憧れを抱いていた。

意外にも、剱沢の情報は世に溢れている。これほど難易度の高い沢でありながら情報が多いのは多くの沢ヤの目標とされるからだろうか、書籍をはじめネット・SNSなども総合すれば剱沢に関するほぼ全ての情報を事前に知ることができる。キャニオニングによる水線突破もなされ未知も残されていない。そしてなにより剱沢には残置が多い。50年以上前から開拓されてきた剱沢には多量のボルトやロープが残置され、それが観光ガイドとなっている。

情報や残置を無視して己のラインを引く行為は私が志す冒険行為とは全く性質の異なるもので、肉体の優劣を競うスポーツ的性格が強い。剱沢ほど手垢に塗れた渓谷なら、いきりたち己のラインを引くのではなく、究極の観光旅行と割り切った方がむしろ自然じゃないか、などと要するに剱沢と真向勝負しない言い訳をあれこれ並べたてて既存ルートで観光してきた。

同年10月12日、大木輝一らパーティにより剱沢大滝に新たな遡行ラインが引かれた。完全な水線突破とはいかなかったが、日本屈指の険谷である剱沢に新たな冒険性を定義し、完遂したことに敬意を表します。

「険谷」剱沢|大木輝一 著

「険谷」剱沢 購入はこちら

剱沢|沢登り|2024.10.14 〜 17
メンバー:ゴルジュスズキ・木村商店・リュウスケ

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桧山沢|沢登り

     

昨年から行きたい渓谷リストの上位に位置付けられていた梅花皮沢は、2024年10月初旬に複数パーティーが入渓し完全に未知を失った。梅花皮沢の遡行意欲を無くし意気消沈しているところに、大西氏から偶然にも梅花皮沢と同エリアに位置する桧山沢のお誘いをいただいた。なんでも飯豊山界隈で未知が残る数少ない渓谷で、過去雪渓に埋もれていたゴルジュが姿を表しているかもしれないという。

桧山沢|沢登り|2024.10.9〜10.11
メンバー:大西氏|ゴルジュスズキ|木村商店|リュウスケ

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称名廊下(称名川 下ノ廊下)|沢登り

     

古くから沢登りが行われてきた日本において、今やほとんどの渓谷が踏破され、未知のまま残されているものは、ごくわずかしかない。その限られた人跡未踏の谷の一つであり、かつ大規模を誇るのが、北アルプスの立山に源を発する称名川下ノ廊下である。(中略)

先鋭的な沢屋のなかで「日本最後の地理的空白地帯」というフレーズが掲げられた称名廊下は、当然、皆の憧れの的となっていたが、同時に遡行を不可能視されているような沢でもあった。

『渓谷登攀(大西良治 著)』より抜粋

『渓谷登攀』を読み称名廊下の存在を知った当時の私にとって、そこは宇宙空間と同じくらい遠い世界だった。

稀代の遡行者大西氏をして、数十日におよぶ偵察と一週間という遡行期間を費やした日本最強のゴルジュ称名廊下。その称名廊下を第二登する日が来るとは、当時の私に言っても信じてもらえないかもしれない。

最高のパートナーと最高のタクティクス、そしてわずかばかりの運に恵まれ、称名廊下に新ラインを引けたことを幸運に思う。

初登者大西氏が詳細記録を非公開としたことで、我々の挑戦は最大限クリエイティブな遡行ラインとして結実した。大西氏に敬意を表し詳細記録は非公開とする。

称名川_下ノ廊下|沢登り|2024.10/5〜6
(10/5 – 10:30称名滝落口 〜 10/6 – 15:00称名廊下出口|オンサイト|ワンプッシュ|ボルト不使用|R&S106 ON SITE 03 掲載)

メンバー:大木輝一|鈴木助

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浄の滝|沢登り

     

沢登りを始めた頃からずっと気になっていた沢ヤの神こと大西氏とその弟子 大木氏と一緒に日本を代表する大渓谷でキャニオニングの予定だったがゲリラ豪雨でテン場は水没し、渓谷も大増水してなす術なく逃走。翌朝源頭の小川で用を足し軽装で湖を泳いでいたらセクシー登山部のレッテルを貼られてイジられた。天然ウォシュレットで用を足し、不要な衣類は纏わないのが沢ヤのマナーだと思っていたが私のまわりだけの常識なのかもしれない。

転戦先など大して調べていなかった我々が苦し紛れに選んだのが山形県『浄の滝』だった。過去に登攀記録が一件あるのみでそれ以降の記録は見当たらない。小渓谷だし多少増水していても大丈夫でしょ、と軽いノリで入渓した。

ちなみに私に浄の滝の存在を教えてくれたのは東北一モテる沢ヤで、登攀に誘ってもらっていたが悪天候で順延になった経緯がある。予定していたメンバーで再トライしたいと思っていたが、大西氏から浄の滝を提案され0.5秒で抜け駆けを決心した。ごめんね。

浄の滝は山形県・高倉山1054mを源頭とする公称落差80mの大滝だ。これは下部から展望できる範囲の話で、実際は総落差200m以上のゴルジュ連瀑帯となっている。自治体の空撮動画を見る限り地形の険しさはなかなかのもので、厳しい登攀の連続が予感された。

まあ、沢ヤの神とサラブレッドのコンビがメンバーだし余裕でしょ、と思っていたら入渓地点は昨晩の雨で濁流になっている。本当に大丈夫か?という疑問が頭に浮かぶがメンバーの二人は常にイケイケで全く気にしていないようなので、私も気にしないことにした。

浄の滝|沢登り|2024.09.19
メンバー:大西氏|テル君|ゴルジュスズキ

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アイシポップ川|キャニオニング

     

3年ほど前、キャニオニングを始めた時に一番気になっていた渓谷が北海道のアイシポップ川だった。BIG WEST氏に日本を代表する名渓と称されるアイシポップ川にいつかは行ってみたいと思っていたが、ついに2024年9月その機会を得た。

アイシポップ川|キャニオニング|2024.9.10
メンバー:ゴルジュスズキ|タクマ|木村商店|リュウスケ

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登別渓谷|沢登り

     

北海道には未知のゴルジュが眠っている。2024年9月の北海道遠征の主題であったユウセツ沢を遡行した我々が次に向かったのは登別温泉の程近く、登別渓谷だ。以前、遠征の計画をする際に目をつけていた渓谷の一つで、昨年tamoshima氏により一部開拓されている。2024年夏、氏と面会した際に北海道遠征の話をすると、面白いゴルジュがある、と登別渓谷をオススメされた。なんでも氏をして撤退を余儀なくされたほどの渓谷で、半分以上のセクションが未知のまま残っているというではないか。

登別渓谷の集水域は30km2。地質・勾配などの条件は九州の由布川渓谷と酷似しているが、比較にならないほどの大水量だ。終始脱出困難な水路に大水量、なんとも魅力的な組み合わせに吸い寄せられ、遠征の日程に組み込むことにした。

登別渓谷|沢登り|2024.9.8
メンバー:ゴルジュスズキ|木村商店|リュウスケ

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融雪沢(ユウセツ沢)|沢登り

     

3年ほど前、キャニオニングを始めた時に一番気になっていた渓谷が北海道のアイシポップ川だった。BIG WEST氏に日本を代表する名渓と称されるアイシポップ川にいつかは行ってみたいと思うのと同時に、これほどの渓谷が全く情報なしに近年まで残されていた北海道の可能性に驚いた。せっかく北海道に行くなら開拓もしたい、と地形図をなんとなく眺めているときに見つけたのがアイシポップ川の本流『忠別川』の大ゴルジュだった。

地形図には集水域約30km2の大渓谷が合流するゴルジュ地形が記されている。特に左俣にあたるユウセツ沢ゴルジュは約400mも続く長大なもので仮に地形図が正しければ日本国内では稀な規模のゴルジュだ。これほど目立つ地形なら流石に記録があるだろうとググってみると意外なことに入り口付近の写真こそ数枚ヒットするがゴルジュ内部に関する情報は皆無と言っていい状況だった。

集水域30km2の大渓谷に未知が残っているだけでも珍しいのにそれが2本合流するゴルジュ、しかもほとんど情報が無いとはなんという幸運だろうか。日本最後かもしれない大ゴルジュでのパイオニアワークに大いに心躍らせた。

「険谷」融雪沢|鈴木助 著

「険谷」融雪沢 購入はこちらから

忠別川|ユウセツ沢|沢登り|2024.9.4〜6
メンバー:ゴルジュスズキ|木村商店|リュウスケ

融雪沢の遡行図など詳細情報は、険谷シリーズ「融雪沢」を参照。

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大雲沢|フナクボ沢大滝|沢登り

     

台風10号の影響で50m先も霞む豪雨の高速道路を経験したことがない速度で進むワンボックスの後席で、イケイケの沢ヤは運転もイケイケだな、などと思いながら車体にしがみつく。よく見れば左手はハンドルではなく助手席の愛妻の手を握っていて前などあまり見ていない。隣に座る竹中君と半笑いで目を合わせながら明日の山行が良いものになりそうな予感がしていた。

大雲沢は守門岳(1537m)を源頭とする集水域2.5km2の渓谷だ。低山の小渓谷ではあるが苔に覆われた数十メートルの側壁から幾重にも支流滝を落とす幻想的なゴルジュを内包している。

以前から行きたいと思っていたが私のホーム高知からのアクセスの悪さや日帰りの小渓谷であることなどを理由に後回しにしてしまっていた。

今回、最近沢ヤ界隈で名前をよく聞くtamoshima氏パーティに混ぜてもらい遡行する機会を得た。

大雲沢|沢登り|2024.09.01

メンバー:tamoshima氏|ゴルジュスズキ|sawamafia2人

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柳又谷|沢登り

     

黒部川を代表する渓谷、柳又谷。”黒部の暴れん坊”と称される豪渓である。45km2という広大な集水域と通年残る雪渓から多量の水を集める大渓谷らしい。

私にとって初めてとなる大渓谷での沢登りだ。本来、柳又谷の遡行適期は雪渓からの溶水が減る9月中旬以降ではあるが、雪渓が大量に残る8月に大水量の柳又谷を体験したく、紀伊半島彷徨クラブの盆休み山行に相乗りさせてもらった。

柳又谷|沢登り|2024.08.10〜13

メンバー:紀伊半島彷徨クラブ4名|ゴルジュクラブ1名

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黒桂河内川ゴルジュ|沢登り・キャニオニング

     

ここ最近ずっと気になっていた沢ヤと南アルプスのゴルジュ黒桂河内川でデート。世の中には凄いヤツがいるものですね。ゴルジュも刺激強めでしたがメンバーのほうがもっと刺激的でした。

黒桂河内川ゴルジュ|沢登り・キャニオニング|2024.07.06

メンバー:大木氏|ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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白岩沢(仮称)|キャニオニング

     

ゲテモノゴルジュ「イワンヤ沢」で名を馳せる(?)戸台川に気になる支流を見つけたのは数年前の冬のこと。アイスクライミング体験に誘われ、戸台川を歩いている時に見つけたその渓谷は小水量ながら登攀が絶望的な垂直ゴルジュとでも呼ぶべき地形をしていた。

核心部と目されるセクションは水平距離350m落差250m。集水域は小さいが岩質は石灰岩で、私の経験上0.5平方キロ程の集水域があればゴルジュになる可能性があり、なんとしても中を覗いてみたいと思っていた。

白岩沢(仮称)|キャニオニング|2024.07.04

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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アカナ沢|沢登り

     

究極の崩壊沢。アカナ沢の岩壁は常に崩壊を続け毎年景観が変わるという。

個性際立つ渓谷は濃密な体験として記憶され、その後の糧となることが多い。アカナ沢はどんな体験を我々に与えてくれるのだろうか。

アカナ沢|沢登り|2024.07.02

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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瀬切川|キャニオニング

     

屋久島の渓谷は本州とは比にならないスケールの大渓谷らしい。離島の花崗岩大渓谷という旅情を味わいたく遠征を企画した。

そしてなにより、海外でデカい渓谷をやる人間は屋久島の継続遡下行で実力を試すようだ(私が一方的にライバル視している人物が屋久島に行っているだけかもしれない)。

我々も継続遡下行で実力を試そうではないか、と意気込んだものの天候に恵まれず4日間しか好天は続かない。当初予定していた瀬切川遡行-宮之浦川下降のプランは厳しく、一番興味があった瀬切川キャニオニングに予定変更した。

瀬切川|キャニオニング|2024.04.17 ~ 20

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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岩井谷|キャニオニング

     

紀伊半島には沢ヤが多い。しかし、キャニオニングのタクティクスで未知を追求しようとする先鋭的な沢ヤはなかなか少ない。

紀伊半島の若くてヤル気のある沢ヤに”キャニオニングってすごいんですよ”と、布教活動してきた。

2023.11.23|岩井谷|キャニオニング

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刈安谷・ホホゴヤ谷|キャニオニング

     

ローソク滝の上部にすごいゴルジュがあるらしい。2023年秋にファイントラック相川氏が開拓し話題になった記録を見て早速訪問した。ローソク滝が掛かるのは刈安谷支流のホホゴヤ谷。刈安谷も沢登りでの突破が困難なゴルジュを擁するという。折角遠征するなら、と1day*2キャニオニングした。

折角なので、紀伊半島界隈でキャニオニングに興味があるメンバーを集め、布教活動も行う。

2023.11.02 – 03|刈安谷・ホホゴヤ谷|キャニオニング

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春川 万滝沢 赤いゴルジュ|沢登り

     

”赤いゴルジュ”の通称で呼ばれるゴルジュがある。

赤いゴルジュの存在を知ったのは2022年8月。東北の沢屋をSNSでナンパした時のこと。そのときは天候不順により訪問できなかったが、ずっと気になっていた。

2023年10月、東北遠征で悪絶な渓谷の数々を遡行する予定だったが、あまりの寒さと万全でない体調によりプランB、いや、プランFくらいのコンビニ系沢登りを求めていた我々には、赤いゴルジュはなんとも魅力的なゲテモノゴルジュに見えた。

春川 万滝沢 赤いゴルジュ|沢登り|2023.10.17〜18

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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九階滝|沢登り

     

日本有数の美瀑「九階滝」。豪雪地帯ならではの大スラブを優雅に滑り落ちる大瀑布だ。

九段80mの大滝で、最下段が約50m。その上に10mほどの滝が続き、残り七段で20mを等分する。すべての落ち込みに滝壺があり、滝壺から直接次の落ち込みへと繋がる、完璧な造形の段瀑。

普段は未知を求め暗黒のゴルジュばかり彷徨っているが、九階の滝の、あまりの美しさに陽光の中で沢登りをしてみたい欲望を抑えきれなくなった。とりあえずいつものパートナーと、それから映えまくりの沢写真をSNSに投稿しまくり、女子と沢に行きまくっていて一方的にライバル心を燃やしていた沢屋に声をかけた。

九階滝 登攀|2023.10.14

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名|東北で一番モテる沢屋

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明神洞|沢登り

     

川浦渓谷・海ノ溝洞など全国的に有名なゴルジュを擁す奥美濃で、ひときわ特異な景観を持つらしい明神洞。集水域の小ささとは裏腹に、側壁の高さは100mクラスと奥海のエリア最大規模を誇る。

前日のザクロ谷から高知へと帰る道中、半日ゴルジュと洒落込んだ。

メンバー:ゴルジュクラブ3人

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ザクロ谷|沢登り

     

日本一、映えるゴルジュ。SNSに多数投稿される特有の景観から、憧れの渓谷として注目を集めるザクロ谷。2023年の目標として心に決めていたザクロ谷を遡行した。

2025.1 追記

ザクロ谷は、古典的には日本最難関のひとつとされる険谷のひとつであり、今なお多くの沢ヤの憧憬を集める。核心部の険しい地形は、ゴルジュ突破というニッチな世界でしか体感し得ない険しさと美しさを併せ持ち、遡行者の脳裏に刻みつけられるだろう。一方で、多量の残置やインターネット・SNS情報、そして中間部「牛首」にて脱出可能というリーズナブルさも併せ持つ。本当にヤバイ渓谷に行く前の、登竜門的存在としてザクロ谷は非常に価値ある一本だと言えるだろう。

ザクロ谷|沢登り|2023.9.14 – 15
メンバー:ゴルジュクラブ3人

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五十沢|沢登り|下部〜上部ゴルジュ ワンプッシュ

     

五十沢。以前から強く惹かれていた渓谷だった。遡行した者は口を揃えて “日本を代表するゴルジュ” だという。

2025.1 追記

日本に数ある著名ゴルジュの中でも、五十沢は抜きん出た存在だ。下部ゴルジュ入渓地点となる夫婦滝付近の集水域は18平方キロ。行程のほとんどがゴルジュで構成される渓谷としては異例の大きさだ(取水堰堤により減水しているが)。そしてなにより、上中下と3セクションに分かれたゴルジュ帯それぞれが、異なる特徴をもつ。

【下部ゴルジュ】過去に大水量で侵食された下部ゴルジュは侵食の規模が大きく、まさに大渓谷といった空間が展開される。取水堰堤の存在により水量はそれほど多くないが、核心となる夫婦滝の滝壺では大迫力のドーム状空間は一見の価値がある。

【中部ゴルジュ】一般的に遡行対象となる、取水堰堤上部からはじまる中部ゴルジュは、国内屈指の秀逸なゴルジュと断言できる。侵食された岩盤を複雑に流れる水流のなか、登攀的なだけでなく水流的にもテクニカルなゴルジュ突破を堪能できるだろう。

【上部ゴルジュ】上部ゴルジュに立ち入ると、これまでの明るい渓相とはうって代わり、狭く・陰湿な空間が展開される。花崗岩の渓谷としては異例なほど細く侵食された水路は最狭部で幅1メートル未満まで狭まる。登攀的には一番テクニカルなセクションでもあり、終日陽の届かない陰湿な空間での奮闘となる。

源頭となる巻機山界隈の景観も特筆すべき点で、入渓から山頂に至るまで全く隙のない間取りと言えるだろう。長大な渓谷はどこか大味になるところがあるが、五十沢は違う。ゴルジュ愛好家であれば絶対に訪れるべき一本だ。

五十沢|沢登り|2023.9.1 ~ 4
メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ2名

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海川不動川|沢登り

     

日本を代表する異形のゴルジュ。ゴルジュ志向の沢ヤなら1度は訪れるべきと噂される渓谷を遡行した。

2025.1 追記

海川不動川を特徴付けるのはその得意な地質だろう。ボコボコと石塊がはまりこんだグロテスクな側壁が終始続き、そのなかを黄色く淀んだ水が流れる。ゴルジュ内部は複雑に侵食され、”火星” と表現されるのも妙に納得できる、奇怪な世界観をもつ。

ゴルジュ開始地点となる不動滝の登攀が絶望的で、高巻きからスタートとなるのは残念ではあるが、以降、中部『アブキの河原』を除き、ほぼゴルジュが開けることはなく、遡行内容は濃い。渇水のなかの遡行であった、という前提はあるものの、国内の著名な難ゴルジュとしては登りやすい部類といえる。

源頭付近の藪漕ぎが非常に濃密であること、低山ゆえ真夏は不快指数が非常に高いことを覚悟すれば、素晴らしいゴルジュ突破を堪能できること間違い無しだ。

海川不動川|沢登り|2023.8.19 – 21
メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ3名

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尾白川渓谷|下部〜上部|沢登り|2023.07.19〜20

     

”高度なゴルジュ突破を目指す者へ”

ここ半年、沢に入り浸り、調子に乗っていた我々には魅力的な課題だった。

登れない渓谷があるわけがない。尾白川だって例外ではないはずだ。尾白川下部 / 上部ゴルジュ1day x 2。

メンバー:ゴルジュクラブ1名|紀伊半島彷徨クラブ1名

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クロスケオテ谷(武平谷川)|キャニオニング|2023.05.27

     

異次元のゴルジュ。武平谷川(クロスケオテ谷)は、私が経験したことのあるゴルジュの中で、圧倒的に、群を抜いて異次元だった。

側壁の高さは100mを優に超え、垂直以上の斜度で幅数メートルのゴルジュとなっている。花崗岩の岩盤は堅牢かつ緻密で、大味な部分が一切ない。完璧なゴルジュとは武平谷川(クロスケオテ谷)のことを指す。

メンバー:ゴルジュクラブ2名

追記:2023年は「池郷川本流」「由布川渓谷」「弥山川」「海川不動川」「五十沢」「足谷川」「ザクロ谷」など有名ゴルジュをいくつか遡行したが、その中でも強く印象に残る空間だった。

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由布川渓谷|沢登り|2023.05.25

     

「ドブ川」「臭い」「異世界」

陰湿で汚い暗黒世界が4km以上にわたり続く由布川渓谷。日本トップクラスの特異性をもつ泳ぎゴルジュであることは間違いない。

メンバー:ゴルジュクラブ2名

追記:2023年は「池郷川本流」「クロスケオテ谷川」「弥山川」「海川不動川」「五十沢」「足谷川」「ザクロ谷」など有名ゴルジュをいくつか遡行したが、その中でも強く印象に残る空間だった。

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池郷川|下部〜上部ワンプッシュ|沢登り|2023.04.12〜14

     

池郷川。古典的な険渓であり、西日本を代表する大水量ゴルジュ。

2022年後半、ゴルジュクラブを設立し四国の渓谷開拓をしてきた。個人的な感覚では結構難しいことをやっているつもりではあったが、我々には四国以外での経験がない。ゴルジュクラブは片田舎で粋がっているだけの井の中の蛙なのか、本物のゴルジャー集団なのか。それを確認しなければならない。

池郷川。今では並走する林道への脱出が容易なことからゲレンデとも揶揄される渓谷である。だが古典的には下部・中部・上部それぞれのセクションが4級の渓谷で、ワンプッシュであれば6級の難易度だというではないか。

いざとなれば逃げられるとはいえ、気持ちは逃げ場のない本流遡行に挑むゴルジャーである。腕試しとしてちょうど良いではないか。池郷川3daysワンプッシュ。

メンバー:ゴルジュクラブ3名

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GORGE CLUB(ゴルジュクラブ)について

     

ゴルジュクラブ(GORGE CLUB)は国内外で活動する、ゴルジュ開拓者集団です。険谷やゴルジュを開拓・調査し、写真集として発表しています。

写真集

険谷シリーズ

国内外の険谷一本につき一冊ずつ制作される写真集シリーズ

 

GORGE CLUB|四国の渓谷開拓記録写真集

 

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実績

称名川 下ノ廊下 遡行融雪沢大ゴルジュ 遡行十粒溪(shílìxī) 下降剱沢 遡行五十沢 下部〜上部ゴルジュ 遡行 ほか

お問い合わせ

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