山岳の多い四国においても、東の剣山(つるぎさん)、西の石鎚山(いしづちさん | 該当の記事ページが開きます)は特別な存在として親しまれています。古くから山岳信仰の対象である剣山は、その景観の素晴らしさはもちろんのこと、山頂近くには「行場」と呼ばれる修行用の難所があるなど、どこか石鎚山と共通する魅力を感じることができます。一方で、山頂付近の景観は荘厳な岩壁が特徴の石鎚山とは対象的で、なだらかな笹原がどこまでも続く、四国山脈ならではの景観が広がっています。
どこまでも続く笹原の景観が魅力
四国で有名な山岳といえば、真っ先に剣山と石鎚山の名が挙がるほど、これらの山は特別な存在感をもっています。老若男女問わず絶大な知名度を持つこれら二峰は、古くから信仰の対象であること、近畿以西の西日本では一番目と二番目の標高を誇るなど、何かと共通点を見出すことができます。一方で、山頂付近の景観は全く異なり、荘厳な岩壁が特徴の石鎚山に対し、剣山では四国山脈らしいなだらかな山姿と笹原による景観が広がっています。
標高1955mと、四国では二番目の標高を誇る剣山ですが、登山コースは初心者向けな点は嬉しいところ。剣山登山観光リフト(新しいタブで外部サイトが開きます)を利用することで標高1750mから登山開始できることに加え、よく整備された登山道は歩きやすく、これといった難所も存在しないため、安心して登山することができます。頂上付近における笹原の景観が美しい剣山では、笹原の保護のために木道が整備されているのですが、四国で二番目に高い場所で、木道を快適に散策する贅沢は剣山ならではのものです。
全体的になだらかな地形をもつ剣山ですが、山中唐突に現れる岩々は特徴的なものが多く、見る者を楽しませてくれます。中には剣のように鋭くそびえる岩などもあり、それぞれの場所で特徴的な景観を楽しむことができます。
訪問時に知っておきたい3つのポイント
1.歩きやすい靴と防寒着
標高2000m級の山岳としては例外的に登りやすい剣山ですが、標高の高さからそれなりの防寒対策が必要です。剣山山頂付近は平地に比べ気温が10度以上低いことが多いので、夏であっても防寒着の携帯が必須です。また、よく整備されているとはいえ登山道を歩くことになるので、運動靴など歩きやすい靴での訪問がおすすめです。
2.6月〜10月がおすすめ
年間を通し美しい景観を楽しめる剣山ですが、特におすすめなのは過ごしやすい気候のなか美しい植物を見ることのできる6月〜10月です。それ以外の季節であっても景観の美しさに変わりはありませんが、降雪や残雪があったり、極端に気温が低かったりするため、それなりの経験と装備が必要になります。
3.紅葉は10月半ば〜後半にかけて
標高の高い剣山では、平地に比べ1ヶ月くらい早く紅葉が始まります。例年10月半ばに頂上付近が色づき始め、2週間ほどのあいだ紅葉を楽しむことが可能。通常、四国の平地は11月半ばから始まるため、ゆっくりと構えていると気づいたら落葉していた、なんてことも。見頃は年によって違うため、事前に情報収集をしてからの訪問がおすすめです。