八釜の甌穴群|百年洪水が刻んだ国指定特別天然記念物

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愛媛県の久万高原町に位置する、八釜の甌穴群(やかまのおうけつぐん)。四国における渓谷の造形として、特に複雑な間取りをしていて、私のような一部マニアには”堪らない”空間がそこにある。

渓谷と一口に言っても、巨岩が転がる大味な地形から、砂原が広がる牧歌的な景観まで、その姿は実にさまざまである。こうした光景の多くは、岩盤の風化によって長い年月をかけて地層が崩壊することで生まれてきた。一方、八釜の甌穴群はそれらとは異なり、岩盤が水流によって有機的に侵食されることで形成された、緻密な造形が随所に見られる渓谷である。このような場所では、崩壊よりも水流による侵食が支配的に進行するため、一般的な渓谷に見られる大味さがほとんどない。まさに「これぞ渓谷」と呼びたくなる空間を堪能できる。

国指定特別天然記念物 八釜の甌穴群(やかまのおうけつぐん)

昭和二十七年三月二十九日指定。この附近の地質は秩父古生層からなり、河床となっている堅硬なフリント質角岩が河水の長年にわたる浸食作用によって、大小三十有余の甌穴群を形成した。甌穴は、百年確率以上の大出水時のジェット流により空洞化浸食が生じて胚が生まれ、砂礫を伴った渦動流により成長した。現在、主流に連なる甌穴八つが形成され、その姿がお釜に似ているところから、この名前が生まれた。附近一帯には、地盤の隆起と主流の変化により、誕生から成長、そして破壊に至るまで、各過程の甌穴を観察することができ、学術上、極めて価値が高いとされている。

久万高原町教育委員会(現地看板より)

八釜の甌穴群の場所

八釜の甌穴群へは、県道沿いの看板から片道20分ほどのハイキングコースです。歩きやすい服装で訪問してください。

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