三重県と和歌山県にまたがる瀞八丁。瀞の美しい渓谷は日本各地にありますが、その規模感は瀞八丁が一番ではないでしょうか。中型の観光船の往来を十分に許す川幅と、穏やかな水面は、日本における瀞の景観として、一番と言っても過言ではありません。
わずかに乳白色の水流が川底を隠し、聳え立つ岩壁と相まって、川底までどれほどの落差があるのだろう、と思わず空想にふけってしまいます。
以前までは栄えた観光名所だったのでしょうか。瀞ホテルの離れがひっそりと岩場に佇んでいました。離れに続く吊り橋は、崩落し、今はもうわたる術はありません。そもそもが人のいないシーズンではあったのですが、少しさびれた、寂しげな景観が一層印象を強くし、是非再訪したいと思わせる雰囲気を作り出していました。