【沢登り初心者|Vol.1】「装備」「注意点」ゼロからの始め方とオススメ渓谷

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想定読者と記事の目的

当記事は、「ハイキングの経験はあるけど、沢登りは初めて」という読者を想定した、沢登りの始め方ガイド Part.1 です。

これから沢登りを始めるあなたが、安心して沢登りを始められるように、最低限必要な装備や、初心者のうちの沢登りの楽しみ方などを解説しています。

各記事の内容は以下のとおりです。

沢登りの始め方ガイドPart.1 「最初に揃える装備」「前提知識」「行く渓谷の選び方」など
沢登りの始め方ガイドPart.2 「地図読み」「下調べ」「アプリの活用」「保険」など
沢登りの始め方ガイドPart.3  実際の沢登りにおける入渓から下山までのワークフロー

レベルごとに記事を用意しています

初級者:沢登りを始める前 / ロープ不要の沢登り
中級者:ロープが必要な沢登り(グレード〜6級)
上級者:ごく一部の困難な渓谷 / 開拓的な沢登り

各レベルごとの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。

沢登りの魅力

沢登りならではの絶景!

マイナスイオンたっぷりの滝、水と岩盤の織りなす景観、手付かずの大自然、足元を気持ちよさそうに泳ぐ魚たち。沢登りには、普通の登山にはない、様々な絶景が待っています!

爽やかな清流と戯れる!

沢登りのフィールドは、比較的標高の高い「渓谷」。普通の川では考えられないような清流があなたを待っています。真夏でもひんやりと冷たい澄み切った水に足を踏み入れてみませんか!?

冒険のようなワクワク!

渓谷の中を自由に歩く沢登りでは、登山道のように決められた道がありません。自分の足で、思い通りに歩いていく。ときには泳ぎ、時には岩を登り、自由な発想で遊べるのが沢登りです!

絶景を独り占め!

沢登りでは、「こんな絶景、独り占めしていいの!?」と疑問に思うような景色に出逢います。普通だったら観光客で混雑してしまうような絶景でも、沢登りならば、あなただけのもの!

当記事をお読みのあなたはきっと、「難しいことはおいといて、お手軽に沢登りを体験したい!」とお考えですね?

もし、沢登りでレベルアップしたい、または難しい渓谷に行きたいと思っているなら、中級者向けの記事または上級者向けの記事をご参照ください。

沢登りを始めるのに必要な装備

沢登りを始めようと情報を集めていると、「これも必要」「あれも必要」と、たくさんの装備が紹介されていて、

「長く続けるかもわからないのに、最初から全部揃えられないよ…」

と、そっとブラウザバックしたことがあるかもしれません。大量の装備をすべて揃えなければ沢登りは始められないのでしょうか?

答えは「いいえ」です。ご安心ください

「最低限」これだけ揃えればOK(総額:約3.5万円)

1. 沢靴

(約2万円)濡れた岩でもグリップする沢登り用の靴

2. ヘルメット

(約1万円)落石や転倒など「もしも」のとき頭部を守るヘルメット

3. 防水バッグ

(数千円)荷物を濡れから守る防水バッグ

4. 手袋

岩の角などから手を守る手袋

服装とザック
服装は、速乾性のある素材の、長袖長ズボンを。ザックはアウトドア用のものならひとまずなんでもOKです。

Tips

ワークマンでもいい?
沢靴・ヘルメット・防水バッグはアウトドアメーカーのものを。
それ以外はワークマンでOK!初心者が沢登りを楽しむのに十分な性能があります。

Tips

1:沢靴

結論:ステップアップ前提なら「ラバーソール」 / 初心者用なら「フェルトソール」

【ソール(靴底)の種類】

沢靴のソールには「ラバーソール」と「フェルトソール」の2種類があります。

現在主流なのは「ラバーソール」

ラバーソールの沢靴はグリップ力が高く、泥斜面や砂の上も比較的得意です。一方で、ヌメリのある岩では滑りやすく、グリップする場所としない場所の見極めが重要です。

オールラウンダーの「フェルトソール」

フェルトソールの沢靴は、ヌメっている場所を含め、グリップ力が安定しているのが特徴です。ヌメっている場所限定でラバーソールよりもグリップしますが、全体的なグリップ力は低めです。

難易度が高い沢は「ラバーソール」のほうが有利な場合が多い。将来的なことを考えるなら初心者のうちから慣れておくのもアリ。

Tips

2:ヘルメット

結論:登山用ならなんでも良い(ダイヤル調整式は取扱注意

ヘルメットは、登山用のものであれば基本的に問題ありません。

「ダイヤル調整式ベルトのヘルメット」は取扱注意という点だけ注意が必要です。

沢登りでは、美しい滝壺やプールに飛び込むといった遊び方も人気ですが、ダイヤル部分は飛込みの際に破損しやすい構造です。

3:防水バッグ

結論:ザックより大きめのロールトップ防水バッグ

沢登りでは水に濡れることが前提となるため、持ち歩く荷物を守るための「防水バッグ」が必須です。ロールトップ式を選びましょう。ザックよりも少し大きめで、底面にマチがあるタイプがオススメ。

4. 手袋

結論:軍手でOK

手を使って岩を登ったり、木に掴まったりすると、気付かないうちに手を怪我してしまうことも。そのため、何かしらの手袋を着用しましょう。オススメは「軍手」で、指先までカバーされていて怪我をしにくく、ヌメッた岩のグリップ力も良い。そして、なんといっても低価格です。

これらの装備を揃えれば、沢登りデビューの準備は整いました!

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日本各地の渓谷を、大判の写真で紹介する写真集「渓谷観光」シリーズ。

私たちGORGE CLUBの活動から、特に印象に残った渓谷美を、A4フルカラーでたっぷり100P掲載。2025年7月、Vol.1 発売。

初心者にオススメの楽しみ方

「渓谷を歩く」ことに不安を感じていますか?

これまで登山道しか歩いたことがない人にとっては、明確な道がない沢登りに、抵抗を感じるかもしれません。

ですがご安心ください。不安を解決する、最強のメソッドがあります。

安全に沢登りを楽しむ「2つのメソッド」

1. 登山道が並走している「渓谷」を選ぶ!

沢登りで危険なシチュエーションは「難しい場所に出会ったときに脱出できず、身動きが取れなくなる」場合。そうならないよう、万が一難所にぶつかったときでも、すぐに登山道へ逃げられるような沢を選びましょう。

2. 登山道にすぐ戻れる「区間」で楽しむ!

逆に、常に登山道に戻れる範囲なら、比較的安全ということです!登山道が並走していなくても、簡単に歩ける区間だけ進み、あとは戻ってくれば良いのです。

行動時に気をつける「4つの注意点」

1: 危険な高さに登らない

自分の手足で無理なく登れる場所だけを選んで行動してください。

同じ場所でも、登りよりも降りのほうが難しく、怪我のリスクも高まります。初心者のうちは登れるかどうかの判断が的確にできないものです。少しでも危険を感じる地形なら、登らないようにしましょう。

2: 水流に注意

「水流が渦巻いている」「流された先が滝になっている」「滝壺」などは注意が必要です。

沢登りに慣れて水流の知識がついてくれば、さまざまな場所で水と戯れることができるようになりますが、初心者のうちは「水に入るのは穏やかな流れの場所だけ」と決めておきましょう。

3: 飛び込むなら、水中を確認してから!

きれいな水流を歩いていると、つい、水に飛び込みたくなるかもしれません。ですが、飛び込みには注意が必要です!

水深が浅かったり、水中に障害物があったりすると、怪我のリスクにつながります。もし、飛び込むなら、水の中を確認してから、安定した足場から飛び込むようにしましょう。

4: 安易にスライダーしない

テンションが上がるとスライダーしたくなりますよね。滑らかな岩盤をスライダーして、きれいなプールへ———。考えただけでも気持ちいいですよね!

ですが、スライダーする前に確認を。「スライダーした先で更に流されてしまわないか?」「スライダーする途中に障害物はないか?」「スライダーでスピードが出過ぎてしまわないか?」など。

安全を確認してから、気持ちよくスライダーしましょう!

「地形図」に慣れよう

「地形図」を使ったことはありますか?普通の地図よりも地形が詳細に記されたものを地形図と呼びます。沢登りでは、地図に載っていないルートを歩くことも多いので、少しずつ地形図に慣れていくのをオススメします。

最初のうちは「ヤマレコ」「YAMAP」などの登山用アプリが使いやすいです。慣れてきたら「スーパー地形」「Geographica」などの地形図専門のアプリがオススメ。

最初はよく分からなくても、何回も使っていくうちにわかるようになるので、今のうちに慣れておきましょう!

Tips

沢登りデビューにオススメの渓谷

沢登りっていいな、と感じてもらえる渓谷を選びましたので、ぜひ写真だけでも楽しんでください!

渓谷の場所がわかる地図つき。Googleマップではなく、国土地理院地図を掲載しています。登山や沢登りでは国土地理院地図のような「地形図」が必要になるので今のうちに慣れておきましょう!

それぞれの渓谷の詳細は、ここでは触れませんが、実際に行きたくなったら、調べてみてください。これらの渓谷は、沢登りの記録が沢山あり、参考になりますよ!

赤水渓谷(秋田県)

赤水渓谷は、この山域の登山道としても利用されている渓谷です。滑床と呼ばれる、滑らかな川床がどこまでも続き、沢靴だけあれば安心して歩ける部分が大半です。

葛根田川(岩手県)

林道から分岐して1時間半ほどで到着する「お函」と呼ばれる場所までが初心者向き。自信がなければそこまでで引き返すのがお勧めです。

前川大滝沢(山形県)

「東北一」とも称される美しい渓谷で、赤い岩盤とコバルトブルーの清流が印象的。「滑川温泉」下流の橋から入渓すると、すぐに美しい景観が広がります。少し歩くと緩やかな滝が現れるが、これを登れるかどうかはあなたの力量次第。上流には大瀑布「滑川大滝」がある。

西沢渓谷(山梨県)

観光歩道が並走する渓谷。渓谷美とは何か?ということを思う存分実感できる。簡単に沢登りできる区間と、そうでない区間がはっきりと分かれているので、難しそう、と感じたら近づかないことが重要。

前鬼川(奈良県)

「前鬼ブルー」で有名な渓谷。車道が並走しているが、場所により車道までの高低差が大きいため、どこから入渓するかは慎重に。掲載地図の中心付近が掲載写真のあたり。近くに国内屈指の名瀑「不動七重の滝」があり、車道から観光できてお得。

鉄砲石川(愛媛県)

「鉄砲石川キャンプ場」より少し下流から渓谷に降り立つと、すぐさま大きなプールを携える滝が現れる。その先も真っ白な岩盤が繰り返し現れる。渓谷を横切る赤い橋あたりまで廃林道が並走していて、好きな区間だけ沢登りできる。

藤河内渓谷(大分県)

九州東面の渓谷らしい、コバルトブルーの清流と、真っ白な岩盤が続く。遊歩道が並走しているので、好きな区間だけ沢登りを楽しむのにうってつけ。

できれば経験者と一緒に

ここまでは、「初心者だけのパーティ」で沢登りを始める方法を紹介してきました。

ですが、可能なら経験者と一緒に沢デビューするのがおすすめです。

初心者のうちは右も左もわからないので、トライ&エラーの繰り返しで成長していくことになります。エラーの結果がトラブルにつながることもあるため、できれば経験者と一緒に行動してください。

どうしても同行してくれる経験者がいない場合は、簡単な渓谷の簡単な部分だけを、自分の判断で楽しめば大丈夫です。

簡単な渓谷でも、何度か通っているうちに、歩き方や危険な場所の特徴が少しずつ分かってきます。そしてそこから、段階を踏んでステップアップしていけば良いのです!

気負いすぎず、まずは「ここなら安心して楽しめそう」と思えるような、綺麗で簡単な沢を選び、挑戦してみることをおすすめします。

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渓谷写真集「渓谷観光」

日本各地の渓谷を、大判の写真で紹介する写真集「渓谷観光」シリーズ。

私たちGORGE CLUBの活動から、特に印象に残った渓谷美を、A4フルカラーでたっぷり100P掲載。2025年7月、Vol.1 発売。

まとめ|三部構成で学ぶ「沢登りの始め方」

ここまでご紹介した内容は、沢登りの現場での流れを一日のワークフローとして整理したものでした。入渓から下山まで、実際の動きをイメージできたのではないでしょうか。

沢登りの始め方ガイドは、以下の三部構成でまとめています。

沢登りの始め方ガイドPart.1 「最初に揃える装備」「前提知識」「行く渓谷の選び方」など
沢登りの始め方ガイドPart.2 「地図読み」「下調べ」「アプリの活用」「保険」など
沢登りの始め方ガイドPart.3  実際の沢登りにおける入渓から下山までのワークフロー

初めて沢登りに挑戦する方は、この三部をあわせて読むことで、装備・準備・行動という一連の流れをしっかり理解できるはずです。ぜひ他の記事も参考にしながら、安全で楽しい沢登りを始めてみてください。

レベルごとに記事を用意しています

初級者:沢登りを始める前 / ロープ不要の沢登り
中級者:ロープが必要な沢登り(グレード〜6級)
上級者:ごく一部の困難な渓谷 / 開拓的な沢登り

各レベルごとの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。