標高1756m、”富士”の名をもちながら四国山脈の一部、という雰囲気で、どちらかといえば地味にも見える伊予富士。冬季には四国一の霧氷と、氷に閉ざされた四国山脈の絶景を眺望可能な名山に姿を変えます。冬季の登山口となる寒風山トンネルからは片道4時間の道のり。積雪状況によってはそれ以上の時間を要すこともある伊予富士ですが、苦労して登山する甲斐のある絶景が待っています。
伊予富士抜きに四国の冬景色は語れない!
標高1756m、普段は特に目立った特徴のない伊予富士ですが、冬季における景観は折り紙つき。四国には他にも寒風山や国見山などの雪山登山の名所がありますが、伊予富士の登山コースから眺望する景観はそれらより明らかに美しく、おすすめです。
四国最高峰の石鎚山まで続く山脈が霧氷に覆われ、どこまでも伸びてゆく景観は、伊予富士ならでは。四国の山深さを実感するとともに、山岳における景観は標高を基準にして語ることはできないと再認識させられます。
登山道からの眺望も素晴らしい伊予富士
寒風山トンネルから伊予富士山頂を目指す場合、一旦尾根に出てから2.5kmにわたり縦走することになるのですが、四国の屋根を縦走しながら望む冬景色はまさに絶景。縦走中はほとんどの区間で尾根の切っ先を歩くことになるため、遮ることのない山脈の景観のなか、気持ちよく歩くことが可能です。
四国山脈の景観が素晴らしいのはもちろんのこと、見事な霧氷もおすすめのポイント。尾根付近の木々は見事な霧氷に覆われ、白銀の世界を作り出します。標高1756mの伊予富士では、頂上付近でもそれなりに樹木が自生していることもあって登頂直前まで霧氷を楽しめるのもうれしいところです。
早春の景観がおすすめ!
厳冬期における白銀の世界が美しいのはもちろんですが、一番おすすめしたいのは3月から4月にかけての景観。この時期は積雪もほとんどなく、美しい笹原が姿を現します。一方で、尾根付近の木々は早朝には霧氷に覆われ、他の場所ではなかなか見ることのできない独特の絶景を作り出します。笹原と霧氷の共演は冬と春がせめぎあっているかのようで、これから始まる生命にあふれた季節を期待すると同時に、霧氷とのしばしの別れに少し切なくなる、なんとも言えない絶景です。
もちろん、この季節になっても四国山脈の景観が素晴らしいのは相変わらず。霧氷と笹原、この時期にしか見ることのできない独特の絶景は、四国における山岳の景観の中で特におすすめです。