探検隊さながらの体験が可能な龍河洞。他の有名な鍾乳洞と比較して際立ってワイルドなコースが特徴で、しゃがまないと通れないほど天井の低い場所や、横向きでしか通り抜けられないほど狭い場所など、龍河洞ならではの魅力が満載です。長さ1km、高低差80mのコースは入り口と出口が別の場所にあり、コースを引き返す必要がないのもポイント。高知龍馬空港からほど近い立地ということもあり、高知県きってのアクティビティスポットとして人気を集めています。
1.しゃがまないと通れない?横向きでもギリギリ!ワイルドなコースが魅力の龍河洞
龍河洞ならではの魅力は、その変化に富んだコースにあります。全長1km、標高差が80mのコースでは、変化に富んだ景観が次々に現れます。
龍河洞では、しゃがまないと通れないほど天井が低かったり、横向きでもギリギリなほど狭かったり、他の有名な鍾乳洞コースでは味わうことのできないワイルドなコースが魅力。一方、足元はきれいに整備されているため、歩きやすいのはありがたいポイントです。
探検隊さながらの体験が可能なだけでなく、美しい鍾乳石を堪能可能なのも魅力で、美しい幕状鍾乳石(カーテン)の密集する場所をはじめ、バリエーション豊かな鍾乳石を堪能可能です。
幕状鍾乳石を下から見上げるとこんな感じ。天井までの高さは5mほどでしょうか、膜状鍾乳石が密集する空間は、なかなかの迫力です。幕状鍾乳石以外にも様々な景観があり、1km、1時間のコースがあっという間に感じてしまうほど濃密な体験ができること間違いなしです。
龍河洞の代名詞ともいえる神の壺は、2千年の時を経て弥生土器が鍾乳洞と一体化したもので、世界的に見ても非常に貴重なものとなっています。また、コース後半に位置する第一〜第三穴居では、弥生人の居住跡が再現された展示もあり、当時の環境を体験することができます。
1−2.龍河洞の入場料
高校生以上:1,100円
中学生以上:700円
小学生:550円
15名以上、40名以上、100名以上の団体で訪問すると100円〜500円の割引が適用されます。
1−3.入場可能な時間
3月〜11月:8:30〜17:00(最終入洞)
12月〜2月:8:30〜16:30(最終入洞)
※龍河洞博物館、珍鳥センターはそれぞれ最終入洞の10分前まで
2.龍河洞のコースの見どころ一覧
2−1.龍河洞までの道のり
龍河洞駐車場に車を停め、龍河洞までの300mほどの道を歩き出すと最初に目に入ってくる土産物屋通り。どこかノスタルジックな雰囲気を感じる通りで、地元の特産品をはじめ、切れ味抜群の土佐刃物などが購入可能。また、レストランも何件かあるので、龍河洞を楽しんだ後にゆっくりと食事可能なのもうれしいところです。
商店街を抜けると龍河洞の入り口まで続く長い階段が出現。長さ50mはありそうな急な階段で、徒歩で登るとそれだけで疲れ切ってしまいそう。隣にはエスカレーターも用意されているため、この後に控える龍河洞のためにもそちらの利用がおすすめです。
険しい階段を横目に、エスカレーターでは快適に龍河洞入り口までアクセス可能です。
2−2.龍河洞入り口
エスカレーターの先には龍河洞の入り口が。覗き込むと奥の方へ伸びる薄暗い遊歩道が見え、これから始まる探検に期待が高まります。
2−3.スリル満点のコース
龍河洞内に足を踏み入れると、すぐに雰囲気満点の遊歩道が出現、水流沿いの細い道を歩くことになります。龍河洞内は冬は13度、夏は17度と四季を通じ安定した気温のため、冬季は暖かく、夏は涼しい空間でアクティビティを堪能可能なのも嬉しいところです。
少し進むと横向きでも通り抜けるのがギリギリの場所が出現。よく人が通るからか、両壁はの表面は非常に滑らかで、お腹を少し擦りながらも簡単に通り抜けることができます。
2−4.石花殿(せっかでん)
龍河洞の1つ目の見どころ、石花殿(せっかでん)。石花とは、牡蠣(かき)やカメノテを表す単語で、その名の通り、海中の生物がびっしり付着した岩を連想させる外見をしています。
2−5.千仭の間(せんじんのま)
続いて現れるのが、龍河洞で一番天井が高い千仭の間(せんじんのま)。天井までの高さは30mとされ、遥か上空まで伸びる空間が迫力満点。
奥までははっきりと見えないものの、かなり高さを感じる眺めです。照明が天井に向け設置されているため、かなり奥の方まで観察することが可能です。
2−6.雲の掛橋
石灰岩の柔らかい部分が地下水によって侵食され、硬い部分のみが残った雲の掛橋。その名の通り、橋のような特徴的な形状をしています。
2−7.飛龍の滝
水量こそ少ないものの龍河洞で二番目の規模を誇る飛龍の滝は、鍾乳洞の中の滝という結構レアなシチュエーションが魅力です。増水時の景観は大変壮観らしく、あえて雨天時に訪問するのも良いかもしれません。
2−8.青龍石(せいりゅうせき)
他の石筍(せきじゅん)とは少し違う、個性的な形状をした青龍石。どことなく青龍刀を感じさせる形状からその名がついたのかは不明ですが、個性的な形状をしています。
2−9.記念の滝
龍河洞で最大規模の落差11mを誇る記念の滝。昭和6年にこの奥に奥洞が発見されたことを記念し、命名されたそうです。直径5mほどの滝壺はライトアップされ、洞窟内透き通った水がの輝きが洞内に満ちる、不思議な空間となっています。
2−10.天降石(てんこうせき),絞り幕
龍河洞内最大の大きさを誇る天降石。高さ11mの鍾乳石は太さも含め間違い無く龍河洞一の迫力。すぐ右隣には高さ6mの絞り幕もあり、龍河洞のハイライトとも言える場所です。
2−11.前の千本
鍾乳石をはじめ、石筍(せきじゅん)や石柱の立ち並ぶ前の千本。規模こそ大きくないものの、多様な鍾乳石で満たされた空間は冒険心をくすぐるものがあります。
2−12.竜宮殿
前の千本に続き、複雑な表情を楽しめる竜宮殿。前の千本と比較して石柱が多いように感じます。
2−13.サボテンの丘
続いて現れるサボテンの丘では、サボテンのように見える石筍が立ち並んでいます。
2−14.冒険コース入り口
要予約の冒険コース入り口は、普段は固く閉ざされています。冒険コースを体験するには、前日までに龍河洞保存会(0887−53−2144)へ電話予約の必要があることに加え、ヘッドライトとヘルメット以外の持ち込みが禁止されているので注意が必要。また、冒険コースはメインコースよりも狭い箇所が多いため、汚れても良い服装での訪問がおすすめです。ちなみにツナギと長靴は1,000円でレンタル可能です。
2−15.奥の千本
奥の千本は、前の千本よりも奥行きのある空間が特徴で、石柱越しに見える青いライトアップが素敵です。
2−16.クラゲ石,中間点
クラゲ石に到着すると、やっと龍河洞の中間点。ここまでの500mの道のりにも数々の見どころがありますが、コース後半ではまた違った景観が次々に現れます。
2−17.流礫棚(りゅうれきだな)
中間地点のクラゲ石を通り過ぎるとすぐに姿を現す龍礫棚。詳細な命名理由は不明ですが、確かに棚のような形状をしています。地味ではありますが、なかなか珍しい造形ではないでしょうか。
2−18.龍口(りゅうこう)
直径1mほどの空間にぽっかりと口を開けた龍口は、増水時に激しく水を吹き出す様子が龍のようであることから名付けられたそう。
2−19.裏見の滝
滝のようにも見える高さ6mの巨大な石柱、裏見の滝。裏側に回ることができることから裏見の滝と命名されました。滝の名のとおり、水流を思わせる表面の造形が特徴的で、どこか優雅な雰囲気を纏っています。
2−20.玉簾の滝(たますだれのたき)
まさにすだれ、といった様相の玉簾の滝。美しく揃った模様が特徴的です。
2−21.双葉山のへそすり石
元横綱の双葉山関が通った際、おへそを擦りむいたことから名付けられた双葉山のへそすり岩。通り抜けるための隙間は、普通の体型でもギリギリで、龍河洞のコースで一番狭い場所です。
2−22.鬼面石(きめんせき)
洞内の一部だけが複雑な形状をしている鬼面石。どのような過程を経てこの形状になったのかは不明ですが、どことなく鬼のような禍々しさを放っています。
2−23.月宮殿(げっきゅうでん),シャンデリア,鮭の石
玉簾の滝にも似た造形の鍾乳石ですが、より立体的でシャンデリアらしい造形が特徴的です。
月宮殿から左上を覗き込むと、不思議な形状をした鮭の石(さけのいし)が。不思議なほど鮭の特徴がよく現れている鍾乳石です。
2−24.通天門,しんどい坂
コースをまたぐように架かる通天門をくぐり、龍河洞最高地点まで一気に登るしんどい坂。涼しい洞窟内にもかかわらず汗を掻くほど長い登りとなるため、ゆっくりと登るのがおすすめ。しんどい坂の途中には休憩用のベンチと扇風機も設置されているため、そこで休んでいくのも良いかもしれません。
2−25.連星殿(れんせいでん),マリアさま,お釈迦さま
しんどい坂を進むと連星殿(れんせいでん)に到着。上部には「マリアさま」「お釈迦さま」と名付けられた鍾乳石が。
少々禍々しさを感じなくもないですが、一風変わった造形の鍾乳石は確かにマリアさま、お釈迦さまに見える気がします。
2−26.万象殿(ばんしょうでん)
複雑に入り組んだ造形の万象殿。規模は小さいものの、「前の千本」「奥の千本」よりも一段と複雑な造形をしています。
2−27.逢坂峠(おうさかとうげ)
入り口から80mの高度差を登り詰め、龍河洞の最高地点へ。眼前に広がる大空間は逢坂峠(おうさかとうげ)と呼ばれ、龍河洞一のスケール感を誇るエリアとなっています。
2−28.龍河洞の龍馬像
逢坂峠を下ると龍河洞の龍馬像が登場します。下から見上げるアングルも手伝ってか、本物の龍馬像にそっくりの出で立ちです。
2−29.奈落(ならく)
深さ30mの奈落(ならく)、奥のほうは漆黒の闇に包まれています。コウモリの通り道になっていて、夏の夕方にはコウモリの出入りが見られるそうです。
2−30.最壮殿(さいそうでん)
龍河洞らしい立体的なコースと複雑な鍾乳石が魅力の最壮殿。華やかなライトアップと相まって、龍河洞一の景観美を誇ります。
2−31.穴居第三室(けっきょだいさんしつ),神の壺
コース終盤になると、弥生人の生活跡が見つかっている第一〜第三穴居(けっきょ)が連続。穴居第三室(けっきょだいさんしつ)には龍河洞の代名詞にもなっている神の壺があります。2千年の時を経て龍河洞と一体化した壺は、非常に貴重なもので、学術的にも重要な資料となっています。
2−32.幕状鍾乳石
コース終盤に姿を現す幕状鍾乳石。洞内の他の場所でも目にする幕状鍾乳石ですが、この場所は規模が違います。
天井までは5mほどの高さで、下から見上げるとなかなかの高度感。ライトを照らすと透けるほど薄い幕状鍾乳石が幾重にも重なる様はどことなく優雅で、時間話を忘れて見入ってしまうこと間違いなしです。
2−33.七福神の館,七福神
コース最終盤の七福神の館では、龍河洞きっての複雑な鍾乳石を堪能可能。美しくライトアップされ洞内に浮かび上がる石筍は、確かに七福神のようにも見えます。
2−34.実験中の壺
80年前から「神の壺」を再現しようと設置されている実験中の壺。80年という途方も無い歳月を経ていながらも、やっと龍河洞と一体化し始めたところ、といった感じ。「神の壺」がいかに長い歳月をかけて形作られたのか実感させてくれます。
2−35.穴居第二室,炉趾(ろし)
2千年前には弥生人がこの場所で暮らしていたのでしょうか、どことなく人間の気配を感じることができる炉趾(ろし)は、弥生人の炊事場が再現されていて、当時の情景を想像せずにはいられません。
2−36.宝庫
弥生人の宝物が発見されたのでしょうか、特徴的な景観というわけではないのですが、特別な場所のようです。
2−37.穴居第一室,神代窟(しんだいくつ)
100平方メートルの平坦な床、鍾乳洞入り口から差し込む光。神代窟は雨水の侵入も無く、2千年前には弥生人の良き住居として活用されていたようです。年間を通し13〜17度という安定した気温ということもあり、当時としてはかなり快適な生活だったのでしょう。この場所からも弥生人の土器が複数発見されています。
2−38.天の岩戸(あまのいわど)
ここでやっと出口、天の岩戸に到着。入り口からは1km、1時間ほどの道のりですが、程よい疲労感とこれ以上ない満足感を得られること間違いなし。天の岩戸以降にも「龍河洞博物館」や「珍鳥センター」があるので、そちらも忘れずに訪問しておきたいところです。
3.龍河洞博物館
龍河洞博物館では、龍河洞の成り立ちや、龍河洞全体の地図などが展示されています。その多くが模型で展示されているため、専門知識がなくても簡単に理解可能な内容になっています。
2階には鉱石や昆虫、鳥類などの標本が展示されています。龍河洞以外の場所で採取されたものも数多く展示されていて、かなりのボリューム感。
鍾乳石だけでも数百点はあろうかという展示数で、詳細に観察していると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
4.珍鳥センター
珍鳥センターでは、天然記念物の尾長鶏をはじめ、軍鶏(しゃも)などの貴重な鳥類が展示されています。高知県特産のものも多く、それぞれ間近で観察可能です。
特等席には土佐の尾長鶏が。一見標本のようにも見えますが、これらの尾長鶏はしっかりと生存中。
尾長鶏はその特徴である立派な尾羽が切れてしまわないように、身動きの取れない箱の中で飼育されるのが一般的。時々散歩をさせるそうですが、基本的には体の向きすら変えることのできない箱、止箱(とめこ)での飼育となることが多いようです。箱の中でおとなしくしている尾長鶏を見ていると色々と考えるところはありますが、なんにせよ貴重な展示であることは間違いありません。
5.龍河洞訪問時に知っておきたい3つのポイント
5-1.洞内の気温にあった服装を!
龍河洞内の気温は冬は13度、夏は17度程度のため、それに合わせた服装での訪問がおすすめ。また、高低差があるコースのため、頑張って歩くと汗ばむくらい暑くなるので、温度調節可能な服装がよりベターです。
5-2.狭い場所に注意!
龍河洞内にはしゃがまないと通れない場所や、横向きでもギリギリなほど狭い場所があるため、リュックやカメラなど、荷物をぶつけてしまわないよう注意が必要です。
5-3.冒険コースの利用は要予約
通常は立ち入ることができない冒険コースに入るには、前日までに龍河洞保存会(0887−53−2144)へ電話予約の必要があることに加え、ヘッドライトとヘルメット以外の持ち込みが禁止されているので注意が必要です。また、冒険コースはメインコースにくらべより狭い箇所が多いため、汚れても良い服装での訪問がおすすめ。ちなみにツナギと長靴は1,000円でレンタル可能です。