【古民家リノベ|DIY】ベタ基礎打設の方法

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東京都から高知県に移住した夫婦が、築100年以上の古民家を購入、基本的に夫婦ふたり、たまに友人と一緒にDIYしながら高気密住宅にリノベーションしていく記録です。

裏付けや根拠のない、いわゆる”勘”を多く含みます。また、古民家は物件による構造や状態のバラツキが非常に多く、当記事の内容を、そのまま別の物件に適用できるとは限りません。

各項目には作業に必要となる道具を記載しています。リノベーションに必要な最低限の道具については「古民家リノベ|あると便利な道具たち」をご参照ください。

第1回目は、古民家に鉄筋コンクリートの基礎を打設する方法です。

基礎打設のメリット

我が家では、入居当初は手間のかかる基礎に手を入れるつもりはなく、床や壁中心の、いわゆる表層リノベーションで済ませるつもりでした。しかし、2年間実際に暮らすなかで基礎が必要だと判断、今回の基礎打設に至りました。

我が家は、古民家では一般的な、柱が大きな石に乗っているだけの「石場建」という構造です。神社仏閣など、伝統的な建築物においては現代でも石場建てが採用されることもありますが、住宅としての性能を考えるとデメリットの多い構造です。その理由を、2つの観点から確認していきましょう。

1.湿度

立地による部分が大きいのですが、我が家では梅雨〜夏にかけての湿度が大きな悩みでした。特に床下の、剥き出しの地面から際限なく供給される湿度が厄介で、季節を問わず床下は湿気が多く、カビが至る所に生えていました。

古民家では、湿度の高い季節に床板を跳ね上げて換気することで、構造の腐食やカビ発生などの対策をします。床板を跳ね上げるのは結構な重労働で、夫婦二人で暮らしている私たちには簡単ではありません。そのため除湿機で対抗するのが精一杯なのですが、古民家特有の気密性の低さから、ほとんど対策になりませんでした。

革製品・木製品などあらゆるものがカビていき、いくら除湿しても湿度は高止まりしたまま。そんな環境を改善するには、なんとしても地面からの湿度対策をする必要があり、基礎が必要だと判断しました。

防湿シートは効果なし?

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以前フローリングを施工した際、下地として防湿シートを施工しましたが、多少の改善はあれど、根本治療には至りませんでした。そもそも床下の湿度対策にはなっていないので、構造の腐食を止めることは当然できません。

2.耐震性

基礎が必要な理由その2、それは耐震性です。

建築における「在来工法」「新工法」という単語を聞いたことがあるでしょうか。詳細はググっていただくとして、耐震性を高めるには在来工法で建てられている家屋を、新工法に置き換えていくのが一番確実な方法です。

在来工法で建てられている古民家は、木の組み合わせ部分「仕口」の強度で地震の揺れに対抗します。建物全体の仕口が健全であればそれなりの強度があるようです。

我が家の場合、湿気による腐食や蟻害などによって強度が低下している部分もあったため、耐震補強のためには仕口強度への依存度が低い新工法への置き換えが必要と判断しました。

新工法には基礎が必須?

なぜ、新工法に基礎が必要なのか。一番の理由は構造にかかる引抜き方向の力に対抗するためです。

在来工法では、地震による揺れが加わると、その力が土台から屋根まで少しずつ伝わっていき、家全体が横にスライドするように動きます。イメージとしては、お皿の上のプリンを揺らしているような状態です。

これに対し新工法では、揺れが加わると壁は面の形状を保ったまま回転しようとします。この際、部位によっては構造に対して引抜く力が生じるため、抵抗するためには基礎が必要です。現代の住宅では、多量のアンカーボルトにより基礎と家が固定されていて、壁が回転する力に抵抗できるようになっています。

古民家を持ち上げて基礎を打設する具体的な方法

我が家が、DIY・セルフリノベーションで古民家に基礎を打設した際の手順です。

1.軽量化

古民家に基礎を打設する際、最初に行うのが建物の軽量化です。基礎を打設するには、家の下(土台の下、または柱の下)に基礎の厚みのぶんだけ隙間を空ける必要があります。最終的には15~20cmほどが目標ですが、家を持ち上げる最中は非常に不安定になるため、少しでも家を軽量化する必要があります。

1−1.屋根(瓦・瓦土)の撤去

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古民家において最も重量がある部分、それは屋根です。

現代住宅での災害対策といえば、地震が非常に重要なものになっていますが、古民家で一番重視されるのは耐風性だったそうです。数十年に一度の大地震よりも台風対策を重視していたということでしょうか。そのため、風に対して家屋の安定性が高まるよう、屋根部分を重くする構造が一般的でした。

古民家の屋根は、瓦土を使用した瓦葺(かわらぶき)、または茅葺(かやぶき)などが一般的で、いずれも非常に重量があります。我が家の場合も瓦・瓦土で25tほどの重量がある計算で、これは家全体の約60%以上にあたります。

これほどの重量物を載せたまま家を持ち上げるのは非常に困難で、撤去前にテストした際には、ジャッキが構造にめり込むばかりで、持ち上がる気配がありませんでした。

撤去後の養生はしっかりと

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瓦を撤去したらしっかりとブルーシートで屋根を養生します。多少の雨漏りであればすぐに乾きますが、雨ざらしはNGです。屋根が完成するまで最低でも1ヶ月くらいはかかるため、風などで飛ばされないようにしっかりと固定します。

1−2.土壁・その他の撤去

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屋根に次いで軽量化に効果があるのが土壁です。土壁は一枚で150~250kgほどの重量があります。また、ガラス入りの建具も結構重量があるので、外せば効果があるでしょう。

我が家では、土壁・建具・床・不要な増築部分の撤去により5tほど軽量化することができました。

これで、残る重量は10tほどになり、最初の40tに比べてかなり軽量化することができました。

大引き・梁は基礎打設後に撤去?

リノベーションを進めるにあたり、古い大引きや梁が不要になることがあります。これらも軽量化で外してしまって良いかもしれません。

我が家ではこれらを残したまま家を持ち上げました。その理由は、構造部分に腐食・蟻害があり、家を持ち上げる際に少しでも強度を残しておきたかったからです。構造が健全であれば、軽量化の一環として撤去しても問題ないでしょう。

2.ジャッキアップの準備

2-1.仮筋交(かりすじかい)の施工

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軽量化が完了すれば、次はジャッキアップ、といきたいところですが、念のため仮筋交を施工しました。基礎打設までの数週間、骨組みだけで放置することになるため、万が一にも強風などで倒壊しないための保険です。

また、仮筋交を施工することにより、荷重の少ない柱は周辺をジャッキアップした際につられて持ち上がることが多く、作業効率向上にもなりました。

仮筋交には間柱(まばしら)を使用

仮筋交の材料でオススメなの間柱です。間柱なら後から再利用できますし、完成時には壁の中に隠れて見えなくなるため、ビス穴などを気にせず使用することができるだけでなく、強度としても十分です。固定のビスは75mmを使用します。

2-2.砕石を敷く

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まずは必要な部分に採石を敷きます。近場で採石を販売している業者を探し、ダンプトラックで受け取りに行くのが一番安上がりです。

基礎用の粒度調整採石を使用しますが、だいたいどこの採石屋でも扱っているはずです。採石の立米単価はコンクリートの1/5ほどと非常に安価なので、基礎の中で特に強度が必要な土台や柱の周辺以外は、採石で嵩上げします。

だいたい均一に敷くことができたら転圧機で締め固めます。

必要な道具

  • 転圧機(プレートコンパクター)

 

3.ジャッキアップ(揚屋)

ジャッキアップの手順は至ってシンプルで、一つの柱ごとに油圧ジャッキで持ち上げていき、少し持ち上げたらスペーサーを挟み、隣の柱に移る、という工程の繰り返しです。

3−1.スペーサーの用意

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一気に数十センチ持ち上げることはできないため、途中経過として柱の下で高さを調整するスペーサーが沢山必要です。我が家では12mm厚の構造用合板のスペーサーを利用して、24mmずつ柱をジャッキアップすることにしました。

柱を少し持ち上げてはスペーサーを2枚ずつ柱や土台の中に挿入していき、少しずつ高さを稼ぎます。

3−2.ジャッキアップ

ジャッキアップには油圧ジャッキを使用します。5~10t程度の能力があれば十分で、できれば爪付きジャッキ(低い位置から持ち上げることができる)を使用したいところです。

最初の一回はどうやって持ち上げる?

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最初の状態では、柱・土台の下にスペースがありません。どうやってジャッキアップするのでしょう?

それは、梁や大引きを油圧ジャッキで突っ張ることでなんとかします。コーナー部分であれば角材を45°に添えることで真下から持ち上げることができますし、それができない場合は斜めに突っ張ることで騙し騙し持ち上げることになります。

必要な道具

  • 油圧ジャッキ(爪付き)*3程度

3−3.鋼製束の設置

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最終的にL=200mm程度の鋼製束数十本で家を支える状態を目指しますので、十分なスペースができたら鋼製束に差し替えます。この時点で家の重量は10tほどですが、鋼製束が数十本もあれば、それだけで家を持ち上げることができます。

土台を基礎から浮かせることで腐食などから守る「基礎パッキン」を使用する場合はこのタイミングで取り付けておきます。

必要な道具

  • 鋼製束
  • 気密パッキン

配管の埋設

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基礎とは直接的には関係ありませんが、必要に応じて給排水の配管を埋設しておきます。特に下水管は排水勾配の関係から、基礎への埋設が必須になることもあるので事前に確認しておきます。

土台の追加

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我が家は部分的に土台がない構造だったため、このタイミングで土台を追加しました。追加する土台には仕口を仕込むのが難しいため、耐震金物や引き寄せ機能のある金物でしっかりと固定します。

4.配筋・型枠

ジャッキアップが完了したら生コン打設の準備です。やるべき作業は4つで、アンカーボルト設置・鉄筋の配筋・型枠の設置です。

4-1.アンカーボルト設置

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鉄筋の配筋をする前に、土台と基礎をつなぐアンカーボルトを設置します。施工基準に従い一定のピッチで施工していきます。耐震壁が取り付くコーナー部分は両脇にアンカーボルトを設置しましょう。

必要な道具

  • アンカーボルト

場所によっては、ちょうど良い既製品のアンカーボルトが無い場合もあります。そのような場所にはM12の寸切ボルトをカットして代用しました。

4-2.配筋

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今回のような手順で基礎を作る場合、布壁(基礎の立ち上がり部分)を作るのは困難なため、スラブのみの基礎を採用しました。

配筋はφ13mmの鉄筋を150mmピッチで、耐力壁周辺は上下二段に配筋します。

コンクリートの被り厚に注意

耐震壁周辺でφ13mmの鉄筋を上下ダブル配筋する場合、コンクリート被り厚の制約から基礎厚は192mm以上必要です。我が家では若干の余裕を持たせてT=200mmとしました。

4−3.型枠

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生コン打設中に型枠に変形が生じると大問題なので、控え杭・フレームのつなぎ目などの補強は十分に行う必要があります。

型枠のフレームにも間柱を利用

型枠の補強にも間柱を使用すれば、再利用できてコスト削減になります。

5.生コン打設

5-1.生コン流し込み

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生コン打設前に、化粧(仕上がりの時に見える)の土台や柱がある場合、しっかりと養生テープなどで保護するようにしましょう。

また、立地や間取りに関わらずポンプ車を手配すると作業が楽です。流し込みの際はコーナー部分や鋼製束周辺など、コンクリートが流れ込みにくい部分にバイブレーターを使用しながら作業を進めます。

生コンは一旦流し込み始めたら最後までやり切るしかない一発勝負です。我が家の場合、23立米の生コンを使用しました。シンプルな形状の基礎なため、生コンの量に対して作業の進捗は早かったと思いますが、それでも朝8時に作業を開始して、最終的な仕上げができるころには10時になっていました。

必要な道具

  • バイブレーター

 

5-2.仕上げ

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生コンは流し込んだら終わりではなく、平らにならしたり、コテで表面を整える作業が必要です。我が家の場合、基礎の40%くらいの面積はそのまま生活スペースに露出する仕様のため、その部分は全てコテによる仕上げが必要でした。

作業手順としては、ドロドロの生コンを大雑把にならして水平とレベル(高さ)を出します。足が若干沈みながら上を歩けるくらいコンクリートが固まってきたら、1回目の仕上げです。2回目の仕上げはコンクリート表面に水が浮いてきた1時間後くらい。この時点でかなり平滑になっているはずなので、見た目が気にならなければこの時点で終わりにしてOKです。プロっぽい仕上がりを目指すなら、表面の水がほぼ蒸発してから3回目の仕上げを行います。ここまでやれば相当に綺麗に仕上がるはず。

コンクリートの硬化時間は気温や湿度によって異なり、夏場などは固まるのが早すぎて素人では作業が追いつかないかもしれません。

必要な道具

  • 左官コテ(樹脂・金属)
  • カンジキ

大雑把な均しに樹脂製を、仕上げに金属製を使います。長靴のまま歩くと足が沈んでしまうので、左官用のカンジキを履きながら作業します。

基礎完成

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これで基礎が完成しました。基礎ができるとやり遂げた感がでてしまい、やる気がなくなってしまいましたが、リノベーションはまだまだこれから。次は軽量化で剥き出しになっている屋根を直していきます。

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