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【古民家リノベ|DIY】古民家を耐震・断熱・気密する方法

東京都から高知県に移住した夫婦が、築100年以上の古民家を購入、基本的に夫婦ふたり、たまに友人と一緒にDIYしながら高気密住宅にリノベーションしていく記録です。

裏付けや根拠のない、いわゆる”勘”を多く含みます。また、古民家は物件による構造や状態のバラツキが非常に多く、当記事の内容を、そのまま別の物件に適用できるとは限りません。

各項目には作業に必要となる道具を記載しています。リノベーションに必要な最低限の道具については「古民家リノベ|あると便利な道具たち」をご参照ください。

第4回目は、骨組みだけにした古民家に、耐力壁を設置して耐震化する方法と、断熱材を施工して高気密・高断熱化する方法です。

古民家に「室内」を作る

古民家に「室内」は存在しない。そう気付いたのは心地よい春を過ぎ、最初の梅雨に差し掛かった頃でした。

古民家の住環境を、エアコンや除湿機などの家電で快適にするなんて、不可能です。古民家の「室内」とは、風除けと雨除けがあるだけの屋外、そのくらいの環境で、湿度や温度変化を防具性能はありません。これは、現代的な生活にどっぷり浸かっている私たちには過酷な環境です。

除湿機程度では対応しきれない大量の湿気によって、私のお気に入りの革製品や書籍は見事にカビに覆われました。そして少し先の話ですが、冬になると、上下ダウンを着込んで、強力な灯油ストーブから離れられない日々が続くことになります。

これまで記事にしてきた、「【古民家リノベ|DIY】ベタ基礎打設の方法」「【古民家リノベ|DIY】屋根を断熱・防水する方法」これらの工程で近代的な基礎と屋根を手に入れた我が家ですが、いよいよ快適な室内を実現する最後の要素、壁に取り掛かります。

壁に求められる機能

1.耐震性

耐震性向上のために、耐力壁を構築します。耐震壁の設置には大きく分けて2種類の方法があります。

I.構造用合板

土台・柱・梁に囲まれた長方形の空間を、構造用合板と呼ばれる面材で一枚の壁(面)にして耐震性を向上させる方法です。メリットは土台・柱・梁それぞれに満遍なく地震の応力がかかることで、部材に優しい構造といえるでしょう。デメリットとしては地震動による回転モーメントの発生で、これは土台が基礎に緊結されていない場合に、家屋の浮上りや滑動の原因になります。

II.筋交またはブレース

土台・柱・梁に囲まれた長方形の空間を、筋交またはブレースと呼ばれる斜めの部材で補強する方法です。斜め部材を入れることで長方形の構造を三角形2つに分割して、平行方向の変形を防ぎます。デメリットとしては地震の応力が一部に集中するため、部材や仕口(木を継いでいる部分)の強度が不十分だと破壊の原因になります。

 

 我が家では基礎打設の際に土台と基礎を緊結していますので、部材強度や仕口精度への許容度が高い構造用合板による耐震壁を採用します。どのくらいの耐震壁が必要かは家屋によって異なり、2階建てかどうかや、屋根の重量によって要求される壁量が変わります。我が家の場合は平家かつ、屋根が板金で軽量なため、耐力壁は結構少なくても良い条件ですね。

耐力壁の総量も重要ですが、配置のバランスも考慮する必要があります。家屋の一部だけを補強すると、地震発生時にそれ以外の部分との耐震性の差が大きくなり過ぎて、結果的に補強した部分とそうでない部分の境目で破壊が生じるようです。我が家では細かい計算が面倒なので、土台のある通りそれぞれに1枚以上の耐力壁を設置することにしました。

2.断熱性

快適な室内を実現するためには、建物が屋外と接する面、基礎・外壁・屋根すべてで断熱を行う必要があります。家屋の基礎・外壁・屋根それぞれの面積の比率は2:6:2程度なので、壁の断熱効果は結構大きそうです。

3.気密性

隙間風が吹かないのはもちろんですが、壁の室内側と屋外側で空気が移動することのないよう、しっかりと気密をとることが重要です。

断熱施工により室内外で大きな温度差が生じるようになります。温度差は結露を発生させるため、壁内部で空気の移動が生じないように、断熱層の外・内でしっかりと気密を取ります。我が家のようにグラスウールを利用する場合、外は防水透湿シート、内は防水シート(グラスウールのハネ部分)で気密します。

しっかりとした気密ができていないと、結露による水分の影響で、短期間で壁の腐食する可能性があります。

古民家の壁を耐震・断熱する具体的な方法

1.柱を補強

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最初に行うのが柱の補強です。

耐震壁を施工するベースになるため、柱にはしっかりとした強度が必要です。我が家では室内に露出する柱は腐食が激しく、また室内から見えるため意匠性にも考慮して金輪継という方法で補強しましたが、結構難しかったので添え柱による補強のほうが無難かもしれません。

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添え柱には、柱と同じ幅で厚さ45mm以上の角材を使用します。コーナー部分であれば2方向から添え柱をすることでより強固にできるでしょう。

柱への固定方法は調べてもよくわからなかったのですが、75mmN釘を使用するか、さらに強度が欲しい場合は通しボルトで固定する方法などが考えられます。

2.耐震壁の施工

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まず、既存の910mmピッチの柱の中間に「間柱」と呼ばれる厚さ30mm以上の角材を、土台と梁に固定していきます。間柱の固定はそれほど強固である必要はなく、コーススレッドによる斜め打ち程度でOKです。

構造用合板の継ぎ目に柱が無い場合、45mm厚の間柱を施工しておきます。

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間柱の施工が完了したら、構造用合板をN釘と呼ばれる鉄釘で柱および間柱に固定していきます。構造用合板はホームセンターで手に入る3×6(サブロク)サイズよりも、3×10(サントー)サイズの方が面積あたりの価格が安く、施工性も良好です。

N釘は手打ちしても構いませんが、1枚あたり数十本の釘を使用しますので、高圧コンプレッサーと50mmのN釘を施工できる工具をレンタルした方が良いでしょう。

必要な耐震壁を確保できたら、残りの部分に壁を施工していきます。使用する材料に変わりはありません。固定はN釘でなくともOKですが、我が家は全てN釘で施工しました。

小屋組み部分の壁を張る

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小屋組み部分へ壁を施工する方法は少し特殊です。丸太の側面に合板を貼ってしまうと、面が出せず固定が難しいために一工夫必要です。

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我が家では丸太の内側すべてに間柱をあらかじめ打ち付けておき、その側面に壁を施工しました。間柱はしっかりと固定されていれば、それほど丸太に密着している必要はありません。最終的に外側の合板である程度ピッタリと隙間を塞ぐことができれば十分です。

3.建具の施工

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耐震壁の次は建具を設置していきます。既製品の場合は説明書にあわせて、造作建具の場合はテキトーに。建具には構造部分ほどの強度は必要ありませんので、施工性や材料費などのバランスが良い方法を考えて設置します。見た目を気にしないならL字の金物を使用したりすることで、結構簡単に造作建具を作ることも可能です。

4.防水透湿シートの施工

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屋外の耐震壁が完成したところで防水透湿シートを施工します。防水透湿シートが家を雨風から守る最後の砦ですので、しっかり施工します。絶対に土間シートなどで代用せずに、専用の防水透湿シートを使用してください。

防水透湿シートで小屋組みの丸太部分もしっかりと覆ったら、その上から胴縁と呼ばれる外壁の土台になる部材を施工していきます。柱または間柱のある場所に、50mmの釘で固定しました。凹凸があるなどそのまま施工できない場所は、現場合わせで工夫しながら固定していきます。

5.外壁の施工

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外壁は様々な仕様が考えられますが、我が家は見た目・価格・施工性のバランスから、サネ加工ありの杉板を選択しました。固定にはブラッドネイルを使用しましたが、正面から釘で打つなど、完成イメージごとに好みの方法で施工してOKです。

6.断熱材の施工

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断熱材にはコスパと施工性の観点からグラスウールを採用しました。新築であれば柱の間隔が揃っていて、製材もしっかりしていますので、フォーム材でも施工性に問題はありません。古民家では曲がった柱や小屋組み部分にも断熱施工する必要がありますので、フレキシブルに対応できるグラスウールが使いやすいです。

小屋組み部分など中途半端なスペースにはグラスウールの中身を取り出して詰め込み、その上から気密シート(土間シートなどでOK)を施工します。気密シートは、内装の面材で上から押さえ込むことができる位置にタッカーで固定してます。

7.内壁の施工

断熱材・気密シートを押さえ込むように内壁を施工していきます。耐震壁でない内壁は特に素材や固定方法に決まりはありません。

我が家では寝室やウォークインクローゼットなどはラワン合板がそのまま仕上がりになるため、フィニッシュネイルという目立たない釘で施工、リビングは漆喰風に仕上げるため、下地となる石膏ボードを施工しました。

また、小屋組み部分は壁の形状も非常に複雑ですので、カッターや専用のヤスリなどで簡単に整形できる石膏ボードの使用がお勧めです。

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