
池郷川。古典的な険渓であり、西日本を代表する大水量ゴルジュ。
2022年後半、ゴルジュクラブを設立し四国の渓谷開拓をしてきた。個人的な感覚では結構難しいことをやっているつもりではあったが、我々には四国以外での経験がない。ゴルジュクラブは片田舎で粋がっているだけの井の中の蛙なのか、本物のゴルジャー集団なのか。それを確認しなければならない。
池郷川。今では並走する林道への脱出が容易なことからゲレンデとも揶揄される渓谷である。だが古典的には下部・中部・上部それぞれのセクションが4級の渓谷で、ワンプッシュであれば6級の難易度だというではないか。
いざとなれば逃げられるとはいえ、気持ちは逃げ場のない本流遡行に挑むゴルジャーである。腕試しとしてちょうど良いではないか。池郷川3daysワンプッシュ。
メンバー:ゴルジュクラブ3名
1日目

下部ゴルジュ入り口
集落を流れるなんの変哲もない河原が一変、池郷川の下部ゴルジュが始まる。
ゴルジュの威圧感として、これ以上のものはなかなか無い。側壁は大きくハングし、水量は膨大。

下部ゴルジュF2
下部ゴルジュF2。登攀記録はあるが、今日の水量では勝負できる気がしない。

F2高巻き
沢登りを初めて半年のメンバーがリード。よくここまで成長してくれたものだ。

不動滝ゴルジュ
F2を高巻くといよいよ核心の不動滝ゴルジュである。
登攀記録がある、という事前情報なしには到底トライする気になれない絶望的な光景。ここで逃げてはわざわざ遠征してきた意味がない。
側壁からラペルし谷底に降り立つ、意外にも水流は穏やかで簡単に登攀ラインに取り付けた。下調べで確認しているラインであると確信し、後続にOKのサインを送る。

不動滝ゴルジュの登攀
そこからの登攀は技術的難易度こそ高くないがトラバースが多く緊張した。正しいラインがわからず、3ピッチに分割して登攀を終える。

不動滝ゴルジュの登攀
泊まり装備でのゴルジュ登攀は初めてだ。トップの荷物を軽くするために後続の荷物は重くなり、苦労していた。

不動滝ゴルジュ上部の堰堤
不動滝ゴルジュを抜けるとすぐに堰堤が現れる。水量が多いのか、より簡単な左岸の階段に行くことができず右岸の階段から苦労して越える。
エコ滝下で幕営。結構寒かった。
2日目
エコ滝は泳いでたどり着ける水量ではなく、高巻きから1日が始まる。意外と歩きやすい地形をしていて、巻き過ぎてしまい色々すっとばす。

ネジ滝
ネジ滝に到着。カッコいい淵を泳いで取りつく。左のリッジに上がり、A1。

池郷川中部ゴルジュ
その後もエイドクライミングを要する滝がいくつか出てくる。
上部二俣手前で幕営。薪は少ないが焚き付けが多く火おこしには苦労しなかった。今日も寒い。
3日目

池郷川上部ゴルジュ
朝一からの泳ぎでテンションが下がるが、すぐにカッコいいゴルジュになりはしゃぐ。

12m斜
3日目の核心12m。A0で離水、左のスラブを登っていく。上部に3mがあり左岸からA1で側壁を登る。
これ以降難しい地形は出てこなかった。

暗黒空間から抜けて日光浴
やっと明るい場所に出ることができた。思いっきり日光浴を楽しむ。
これ以降は難しい地形はない。あとは源頭を目指すだけだ。

池郷川源頭部にて
源頭部は穏やかな山容で癒された。前鬼川方面にデポしておいた車目指して下山していく。尾根に乗ってから3時間ほどで車に到着。
四国という辺境の地で沢登り同人を立ち上げて半年。全国に名を知られる渓谷で腕試しできてよかった。
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