「ドブ川」「臭い」「異世界」
陰湿で汚い暗黒世界が4km以上にわたり続く由布川渓谷。日本トップクラスの特異性をもつ泳ぎゴルジュであることは間違いない。
メンバー:ゴルジュクラブ2名
追記:2023年は「池郷川本流」「クロスケオテ谷川」「弥山川」「海川不動川」「五十沢」「足谷川」「ザクロ谷」など有名ゴルジュをいくつか遡行したが、その中でも強く印象に残る空間だった。
平野の田園地帯から入渓地点を目指す。一見、ゴルジュがあるようには見えない。
四国から九州に渡るフェリーの中、10分くらい下調べをした。
「ロープいらないっぽいな」
「ですね。泳ぎとCSのエイドが何箇所かって感じですもんね」
「CSのエイドだけならキャメの#0.3〜#1とアブミ持ってけば十分やな」
「泳ぎしんどいのでフローティングロープ持っていきましょう」
「泳ぐ気ないやろお前(笑)」
田園地帯を歩き、入渓地点の橋へ。確かにそこにゴルジュは存在した。
水は若干の異臭を放ち不思議な色をしているが、仕方ない。意を決して入渓する。
初っ端から50mくらいの泳ぎが連続する。水深は想像より浅く、水路の途中でも立てることがしばしばあった。
脆弱な岩盤は激しく侵食され、妖艶な地形になっている。
北海道の飛生川によく似た雰囲気だ。あちらはヒグマ、こちらは汚水という問題を抱えている点も似ている。
支流の滝ひとつひとつが厳つい。脱出困難な地形が延々と続く。
入渓から2km以上進み、ゴルジュへの感受性が麻痺してきたところで由布川渓谷が本領を発揮する。この空間に立ち入れたことに幸福を感じずにはいられない。
カナヅチのパートナーを牽引しながら300mスイム。
遡行が後半に差し掛かると小滝が現れるようになる。右からカムでA1。
左からフリー。
泳いで取りつこうとするも水流が強く、ハーケンとカムで側壁をA0。
右からフリー。
上流部には雑CGにしか見えない滝が至る所にかかっていた。
遡行終了点の上部取水堰堤の先もゴルジュが続いているので偵察に行くと、側壁から本日最大水量の滝が落ちていた。
その奥にあった怪物のような滝。こんな滝があるとは聞いていない。フローティングロープと数個のカムでどうにかなる代物ではなく、逃走。後々調べたら「みこやしきの滝」と名前がついているようだ。
感想
下調べは重要。日本を代表する泳ぎゴルジュ。