
執筆「ゴルジュクラブ(四国の沢登り同人)」。
ゴルジュクラブの開拓記録は時期を見てまとめて公開予定です。お楽しみに。

平凡な河原から入渓
地形図・地質・所在地そのどれをとってもゴルジュの気配などない平凡な河原から入渓。下見によりゴルジュが存在する可能性は確認していたが、改めて不安になるほど変哲のない河原である。

平凡な河原が一変、ゴルジュが現れる
突如水流が闇へと消えていく。こんな場所の、何の変哲もない河原からは想像もできないスリットゴルジュが口を開けていた。

下降開始
開拓は下降の方が明らかに突破力が高い。ソロであれば尚更である。
これほどのゴルジュは想定しておらず、ロープは合計110mしか持ってきていない。万が一の脱出用にロープ残置する余裕もなく、どこかのタイミングで退路を断たなければならない不安を感じながら下降開始。

深く複雑に侵食されたゴルジュ
これほど複雑に侵食されたゴルジュは全国的にも珍しい。両岸がハングし、水流はその狭間を蛇行している。最奥にさらなる暗闇が目視できるが果たして突破できるのだろうか。

側壁は両岸ともハングして脱出不可能な地形
ギリギリまで脱出ルートを確保できるようトリッキーなロープワークで核心部の偵察を行う。合計90mほど下降し、脱出可能と判断したところで下降開始地点付近まで戻りロープを引き抜いた。

革新部へと向かう斜瀑
核心部へと続く斜瀑10m。この先で谷は大きく屈曲し、洞窟のような空間になっている。

核心部へと向かう
一度ロープを引き抜けば戻ることは叶わない磨かれた水路を暗闇の中へと降っていく。

核心部
これほど複雑に侵食されたゴルジュを私は他に知らない。空間全体を塞ぐようにハングした側壁、その下を一部潜流して下流に抜ける水流、谷幅いっぱいのCSにより塞がれた水路。緊張感を感じつつ、興奮と感動が押し寄せる。
CSの隙間をA0で登り下流へ。出口の滝を下降して開拓を終えた。
感想
予想外の場所にとんでもないゴルジュが隠されていた。直線距離100m程に4つの滝をかけ、その全体が深く・複雑に侵食され脱出不可能な地形をしている。とりあえず愛媛のスーパーゴルジュと命名。