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魔戸の滝|沢登り

2023年、四国の沢にはまだ課題が残されていた。名のある渓谷、それも四国を代表する険渓それぞれに水線突破という課題が残されていたのだ。2023年夏、瓶壺谷(右俣)・高瀑渓谷(下部ゴルジュ〜高瀑の滝)を完全遡行し、我々に残された課題は足谷川・魔戸ゴルジュとなった。

魔戸ゴルジュは日本100名渓のひとつ、西種子谷の入り口に位置する一続きのゴルジュ帯で、総落差は150mもある。全国から多数のパーティーを迎え入れる人気の渓谷ながら魔戸ゴルジュはいまだに完全遡行を許していない。魔戸ゴルジュの完全遡行には入り口を守る魔戸の滝の登攀が必須となり、魔戸ゴルジュの完全遡行を目標の一つに掲げる我々にとってもいつか取り組まなければならない課題だった。

魔戸の滝登攀(おそらく初登)|2023.09.24

メンバー:ゴルジュクラブ1名+2名

魔戸の滝全景。

1ピッチ目。

右のクラックが走る凹角からスタート。クラックは浅く、フレアしていてカムを受け付けない。左フェースの細かい弱点を拾いエイドで高度を稼ぐ。

7メートルほど上がると右に弱点が現れフリーで登る。中段テラスに乗り上がる部分が若干いやらしく、さらに2メートルほど凹角を登った位置にマスターカム赤を極めてからフリーで乗り移る。テラスにキャメ#0.75と#0.4を固めどりできるクラックがある。

2ピッチ目。

テラスから3mほどのハングを超える部分が魔戸の滝核心。手の届く範囲にホールドは無い。また水流を直登するため視界が悪い。

僅かな弱点に極めたペッカーに鎧をかけ50センチほど乗り上がったところから水流中に手探りでハーケンを極める。ハーケンに鎧を移しさらに50センチ上がったところから右上のリスにハーケンを極め、意を決して乗り上がった。それぞれの支点が墜落に耐えられるようなものではなく、後続は不用意にエイドして落ちていた。

ハングを超えた後はカムがよく決まる楽しいセクション。右上に瀑風を避けられる場所を見つけピッチを切った。

3ピッチ目。

右の水路を快適に登り、落口直下へ。落口付近に#0.3〜#0.75のカムが取れる場所が複数ある。

オブザベで核心と目していた水流越えは意外にもすんなりと越えられた。とはいえ、細く収束した水流は不用意に触れれば吹き飛ばされること請け合いで、水流の縁に隠れたホールドを探し当てスタティックに越えた。勢いで越えようとした後続は吹き飛ばされてフォールしていた。

そのまま左上して灌木でピッチを切り登攀終了。

予定ではこのまま魔戸ゴルジュへと繋げる予定だったが随分と時間を食ってしまい、その場で撤退を決めた。右岸の灌木を繋ぎラペルを交えて滝壺に戻った。

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