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足谷川(愛媛県)|沢登り|下部〜上部ゴルジュ ワンプッシュ

沢登り四国最難関とされる渓谷「足谷川」。2023年の課題としてチャンスを伺っていたがタイミングが合わずトライできていなかった。

2023.10.11。メンバー3人が揃い天候が安定しているこの日が今年のラストチャンスだ。2023年は瓶壺谷(右俣)完全遡行・高瀑渓谷(下部ゴルジュ〜高瀑まで)完全遡行・魔戸の滝登攀など、四国に残された課題にそれなりの成果を出せた。残るは足谷川。この渓谷を抜きに我々の2023年の活動は終えられない。

足谷川にはいくつかの課題が残っている。一番魅力的なのは未踏の上部ゴルジュ遡行。足谷川の上部ゴルジュは未だに沢登りでの侵入を許していない。さらに一般的には高巻きとなる下部ゴルジュの未登滝数本の登攀。これらを繋げて完全遡行を目指す。

沢登りは私にとって探検のいちジャンルでありスポーツ的要素は不要だと常々思っているが、地元の渓谷となるとどうしても欲が出てしまう。地元沢登り同人として、狙うはベストライン。

足谷川 下部〜上部ゴルジュワンプッシュ|2023.10.11

メンバー:ゴルジュクラブ3名

遠登志橋(おとしばし)から入渓。既にゴルジュの雰囲気がある。一昨日の降雨で今夏の渇水が平年並みの水量に戻ってしまっているが、遡行に問題はない。

入渓してすぐにゴルジュの気配が濃くなってくる。しばらくはフリーで進む。

落ちても問題のない滝はフリーで。

入渓から30分ほどでゴルジュが狭まり第一核心が始まる。

細い廊下を抜けた先の12mCS。今回の遡行のメインディッシュ、のつもりだったが弱点がない。滝裏に潜り込みオブザベするも、ボロいハング壁でエイドを繰り返せば不可能ではないが1ミスで大怪我をする形状に恐れをなし高巻きを選択。

気合を入れて入渓したが、この時点で完全遡行の目は無くなった。

高巻きは右岸から。A1で登り出し、気持ち悪い泥壁の細い灌木を繋ぎ落ち口まで1ピッチ35m。そこから懸垂で沢筋に降り立った。

沢筋に復帰してすぐの7mCSは左水線からフリー。

谷が大きく右に屈曲し、すぐさま第二核心に突入。

大きく谷が屈曲した先には水路を完全に塞ぐCSが。左から越えてテラスに乗る。

メインディッシュその2、15m斜瀑。巨大な釜をもつこの美しい滝も登攀記録がなく、今回の目的の一つだ。

水流右からA1で離水、凹角沿いに登り、中間で水流左に移る。核心は意外にも抜けのスラブで、磨いてもフリクションが悪くA0 2ポイントで通過。

この滝は滝壺に顕著なエディがあり、かつ水流が直撃する岩盤がアンダーカットになっている。増水時は簡単に死ねる系なので注意。

落ち口から。暗黒のゴルジュから一旦解放される。

ゴルジュからの解放も束の間、すぐにゴルジュが始まる。

5mは右からA1。

4mは左からA1。水中から最初のプロテクションを極めるのが難しい。

この後現れる小滝はフリーでサクサク超える。

co430の12m滝。左から登攀できそうだが、左岸から30秒で高巻ける地形にモチベーションが沸かず巻き。この辺りはゴルジュではなく開けているので緊張感が続かない。

co450の5m。こいつはどうやっても登れそうにない。左岸から30秒で巻ける。上部のちょっと悪そうな4mCSもまとめて巻く。

その上部の若干悪い7mCSは左からフリー。

谷が開け、斜瀑が連続するようになるとすぐに上部ゴルジュ入り口の15m滝に到着。この時点で14:00。上部ゴルジュを継続遡行する。

15m滝は左からフリー。

上部ゴルジュの門番17m。ここから先に遡行記録はない。

中間までフリーで登り、左の外傾テラスからロープを出す。水線を5m登り、そこからは水流左を登る。技術的に難しくはないがプロテクションを取るのが難しくメンタルを削られる登攀。

17m滝上部は足谷川の最狭部。暗いスリットゴルジュが口を開けている。

水路の幅は1m未満、手を伸ばせば両岸に手が届く狭さ。

ここからが足谷川の一番楽しいセクション。スリットゴルジュ出口の滝は水流に逆らいCS下を潜る。

CS下から誕生。楽しい。

多段20m滝。右からフリーで大岩の下へ。

大岩の下に上部に抜ける隙間があり水流を浴びながら空身で潜る。楽しい。

この辺りは沢登りの楽しさが凝縮されたアトラクションのよう。

なんとも美しい樋状13m滝。事前調査では登攀は絶望的かと思っていたが、右に弱点があった。

凹角を抜けた後は階段状。

その先にかかる3mは右から。ここで上部ゴルジュ終了。

上部ゴルジュを完全遡行した今、この先に進むよりも暗くなる前に帰る方が先決だ。登山道が近づいた場所で遡行を打ち切り下山した。

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感想

四国の中で群を抜いてゴルジュ区間が長い渓谷。高巻きラインの選択によっては苦労することもあるようで、パーティーの力量が試される。ただし、登山道が並走し下降が難しい地形でもないため、過度に心配する必要はない。

上部ゴルジュには沢登りの醍醐味が凝縮されていて、是非とも訪れるべき。門番の17m滝登攀はそれなりの緊張を伴うが、その先には魅惑のゴルジュランドが待っている。上部ゴルジュの遡行は他に比類するものがないほど楽しく、次から次にアトラクションが出てくるゴルジャーにとっての天国だった。

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