
日本一、映えるゴルジュ。SNSに多数投稿される特有の景観から、憧れの渓谷として注目を集めるザクロ谷。2023年の目標として心に決めていたザクロ谷を遡行した。
2025.1 追記
ザクロ谷は、古典的には日本最難関のひとつとされる険谷のひとつであり、今なお多くの沢ヤの憧憬を集める。核心部の険しい地形は、ゴルジュ突破というニッチな世界でしか体感し得ない険しさと美しさを併せ持ち、遡行者の脳裏に刻みつけられるだろう。一方で、多量の残置やインターネット・SNS情報、そして中間部「牛首」にて脱出可能というリーズナブルさも併せ持つ。本当にヤバイ渓谷に行く前の、登竜門的存在としてザクロ谷は非常に価値ある一本だと言えるだろう。
ザクロ谷|沢登り|2023.9.14 – 15
メンバー:ゴルジュクラブ3人
1日目
9月に入り、称名滝駐車場へのゲートは7:00開門になっている。管理人の到着が早く、少し早めに駐車場に到着、7:00ちょうどに行動開始できた。
車道から逸れるとすぐに初日の核心。標高差数百メートルの階段を登り、管理用トンネルを屈みながら進む。トンネルを抜けると目の前が雑穀谷で、しばらくはゴーロ歩きだ。

ザクロ谷出合|8:48
ザクロ谷出合に到着すると唐突にスリットゴルジュが始まり泳ぎとなる。
事前情報で寒さ対策は万全。メンバー全員5mmフルウエット相当の装備をしてきたので、最後まで寒さを感じることはなかった。

F1|9:28
F1は離水が核心となり、泊まり装備を担いだままでは進めなかった。空身になり一段上まで登り、荷上げ。後続も一旦集合してから2段目CS上までフリーで登る。
1段目CSは右から残置リングボルトでA1。

F2|10:12
SNSで噂の映えスポットF2。5mと聞いていたがやけに小さい。3mくらいか?空身でフリー。

F3|10:37
F3は左でハンマー投げ。
開けた場所は明るく、清々しい空間が広がる。

ザクロ谷のイワナ
幕営地は牛の首直下の河原と決めていたが、思いのほか早く着きそうなので釣りを始める。結構いい大きさのイワナが釣れる。
12:30幕営地到着。初日の行程は物足りないくらいサクッと終わってしまった。もっと映える写真を撮るのに時間を使えばよかったと後悔する。
沢水でキンキンに冷やした酒を飲み、大量の食材で宴会。明日は時間がかかるらしいので18:30就寝。
2日目

てまり滝|6:26
2日目、行動を開始すると5分ほどで「てまり滝」に到着。右から登れそうな気配だが、最初から時間をかけるわけにはいかない。サクッと右岸巻き。支流から復帰する。

沢筋に復帰|7:07
沢筋に復帰すると、ポットホールが点在する滑床になる。水量はずいぶん減ったが、財弱な岩質ゆえ侵食が激しい。

1m|7:14
水流が岩盤を貫き潜流する1m。

緑の回廊|7:56
これはすごい。最奥に遠目でも絶望的な滝を落とす緑の回廊に到着。しばし撮影タイム。

4段25m|8:23
緑の回廊出口を守る4段25m。右岸から高巻く。流心から1段上がり、残置リングボルトへトラバース。そのまま直上して上部灌木まで。荷揚げは中間で2分割して行った。

4段25m|高巻き途中
4段目は直登できそうだったが、高巻き途中から見下ろして、何故登られていないか納得した。なんつう地形やねん。

4m|9:45
本日の核心4m。右岸残置でボルトラダーを繰り返す。2mのチョンボ棒が大活躍した。1本目のボルトが遠すぎてチョンボ棒なしで突破できるのかは不明。後半、リングが飛んだボルトにスリングをかけてのA0が気持ち悪い。ラダーは4本持ってきていたが、適量だった。
ここから先に難所はなく、ザクロ谷の余韻を残す小ゴルジュを抜けていく。1730mで分岐を右にとると藪漕ぎゼロで登山道へ。

大日平|13:00
登山道は歩きやすく、見晴らしが良い。

下山|14:30
暗くなる前に下山できてよかった。
感想
「SNSで一番映えるゴルジュ」という噂は本当だった。特異な景観はもちろん、険しい地形がゴルジュ突破の雰囲気を盛り上げてくれる。
核心部には残置があり、ルーファイも容易、中間で脱出も可能なので、水量さえ落ち着いていればゲレンデ的に楽しむことができる。
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