高知移住2年3ヶ月。古民家を持ち上げて基礎を打ちました

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夫婦二人で高知に移住して、2年と3ヶ月が経過しました。

半年以上ブログを放置していた理由は、嬉しいことに仕事が忙しかったことと、リノベーションが進んでいなくてネタがなかったためです。

実は、以前の記事「高知移住5ヶ月。古民家リノベーションが進んできました。」で結構順調にリノベーションが進んでいると書きましたが、その後、古民家特有の問題にいろいろ直面して途方に暮れていたこともあり、最近までちっともリノベーションが進んでいませんでした。

湿気・気密性・水まわり

古民家に住み始める前からわかっていました。「湿気・気密性・水まわり」について、いずれは対策が必要だと。

住み始めて一年間は、人生で初めての古民家生活ということもあり、辛かったり不快な問題が生じても、イベント気分で楽しむ余裕がありました。一年くらいの期間なら、非日常的な感覚によって珍しい体験と感じることもできます。「カビが生えた!」「風呂場寒すぎでしょ!」とか楽しむ余裕すらあります。

ところが2シーズン目になると、これから生じる辛いイベントが事前にわかっているので、楽しむような気分ではなく、ただただウンザリするように心境が変化してしまったのです。すぐにカビの生える食器も、外気温と変わらない室内も、一生続くという実感がわいたことで耐えられなくなったのです。

実際どんな状況だったのか

具体的にどんな状態だったのかを羅列するとこんな感じです。

  • 梅雨時期には土間のコンクリートから水が染み出して室内に水溜りができる
  • 水溜りと気密性の低さから、除湿できず、あらゆるものにカビが生える
  • 冬場は風呂場・トイレが氷点下
  • 気密性が低すぎて冷房・暖房・除湿がほぼ不可能

などなど、想像よりもかなり厳しい、というか2年目ともなると、「勘弁してくれ・・・」という感覚しかありませんでした。

覚悟のリノベーション

「この場所に一生暮らすのであれば、どう考えても今のままじゃダメだ。」

古民家の環境が当たり前の時代に育ったのであれば、耐えられるのかもしれない。しかし、平成の時代に生まれ、快適な環境で暮らしてきた私たち世代にとって、昔ながらの住環境は苦痛に感じる部分が多すぎます。

これまでは、「粗大ゴミを捨てた」「床にフローリングを張った」など、表面上のリノベーションがほとんどでした。これらは見た目こそきれいになれど、住宅としての性能とは関係がありません。

一年半暮らしてみて実感したのは、現代住宅と遜色ない環境になるよう根本的なリノベーションをしないと、快適な生活は実現しない、ということでした。

新築か、リノベーションか

新築にしてもリノベーションにしても、予算の関係で、ほとんどの作業をDIYしなけらばならないことは明白です。

実は、同じ性能の住宅を作るのならば、新築の方が技術的難易度が低く、トータルで見れば安価です。新築であれば敷居の高い「木組み」ですら、「プレカット」と呼ばれる工場で加工済みの木材を使用できますし、現代の建材サイズにあわせた設計をすればその後の工程もかなり楽になります。

一方で古民家を本格的にリノベーションするとなると、全てが現場合わせ、それこそ職人的な技能が求められるシーンも多く、また、更地での新築と違い、不要部分の解体から作業を始める必要があるなど、技術的にも費用的にもハードルが上がってしまいます。

古民家での「現場合わせ・解体・廃棄」のコストの方が、新築の「材料費」よりも高くつく場合が多いのです。

それでも私たちがリノベーションにこだわったのには理由があります。

1.市街化調整区域

これは物件購入時に初めて知ったのですが、土地種目の中には「市街化調整区域」というものがあり、ざっくりいうと、「既存と同じ目的、同じ規模の建築物しか建てることができない」というものです。私たちの自宅が建っている土地も市街化調整区域のため、新築を建てるためには、土地の測量のやり直しや複雑極まりない申請の必要があるなど、建築以前に結構なコストが発生するとわかったのです。

結構便利な立地なのに周辺に住宅がない、そこが気に入っていたポイントでしたが、住宅がない理由は市街化調整区域だからでした。しかし、現状の躯体を利用してリノベーションするのであれば申請は不要、しかも未来永劫まわりに住宅が立つ可能性が無い、となればメリットと捉えることも可能です。

2.地域の財産保護

現代において、古民家と同じ工法で建築するとなると莫大なコストがかかります。せっかく(ギリギリの状態で)再利用できそうな状態を保っている古民家なのですから、難しいから、という理由で壊してしまうのはもったいない。我が家は地域で一番目立つ立地で、余所者である私たちの一存で綺麗さっぱり変えてしまうのもどうか、という点も気になりました。

また、古民家ならではの「小屋組み」と呼ばれる屋根周辺の構造は、それは美しいもので、うまくリノベーションすれば素敵じゃないか、というのも理由です。

基礎打設

この古民家に一生暮らす。そう覚悟したからには徹底的にやろう。

湿気・気密性を向上させるには、第一に鉄筋コンクリートの基礎を作る必要があります。昔ながらの、土むき出しの床下は梅雨になると際限なく湿気を放出しますし、土壁や古建具は気密性や断熱性をもっていません。

具体的な方法

どうやって基礎をつくるのか。方法は、柱や梁を全て分解して、基礎完成後にその上で組み直すか、家を持ち上げて基礎を打つか、の二通りです。

古民家は経年変化により部材が変形している可能性が高く、分解した部材を再度組み立てられる保証はありません。また、我が家はクレーンがなければ持ち上げることもままならない大きな部材が多く、敷地のアプローチ問題からクレーン能力(大きさ)にも制約があるなど、現実的ではありませんでした。

家を持ち上げる

必然的に家を持ち上げて基礎を打つことになったのですが、そのためにも下準備が必要です。事前に計算した我が家の重量は40t(トン)。そのうち瓦・瓦土が25tと大半で、不要な増築部分と土壁・フローリングの合計が5t程度です。

家を持ち上げる下準備

実際の作業としては、柱をジャッキアップして家全体を持ち上げます。古民家特有の柱が少ない構造ということもあり、40tの重量を支える柱は9本しかなく、そのままでは柱1本あたりの荷重が大きすぎて危険です。

仕方なく、せっかく張った無垢板のフローリングを解体し、残っていた土壁も撤去。重量の半分以上を占めていた瓦と瓦土も撤去して、土台・柱・梁・垂木・野地板だけの状態にして10tまで軽量化しました。

家を持ち上げる方法

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そして、1つあたり数tの能力がある油圧ジャッキでそれぞれの柱(もしくは土台)を数センチずつ持ち上げて、そのたびにスペーサーを少しずつ厚くしていき、最終的に200mmの鋼製束 数十本で家を支えている状態にしました。

基礎打設

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基礎の形状はさまざまなものを検討しましたが、既存の礎石にコンクリートをしっかりと被せる必要があること、地中梁(基礎が特に厚い補強部分)を土台や柱の真下に設けるのがなどの理由から、土台よりも数十センチ全方向に張り出したt=200mmのシンプルなスラブ基礎としました。

基礎打設完了、しかし

基礎の打設が終わり、やっと一安心と思いきや、柱周辺の後に不要となる部材を撤去してみると、腐食が激しい部分を複数発見したりと、まだまだ安心できそうにありません。

ただ、ひとまずは安定した基礎を作ることができたので、次は屋根を仕上げて、それから柱や壁に取り掛かろうと思います。

作業の詳細

https://suzukitasuku.com/20210417-1/

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