記事の内容
想定読者と記事の目的
当記事の想定読者は、6級までにグレーディングされる渓谷の遡行が視野に入り、その先のパイオニアワークを意識し始めているレベルのプレイヤーです。
沢登りを始めたばかりの初心者が、将来的な目標を描くために読むのも大いに意味がある内容になっています。具体的な装備リストを一覧で掲載していますので、装備計画の参考にもどうぞ。
レベルごとに記事を用意しています
初級者:沢登りを始める前 / ロープ不要の沢登り
中級者:ロープが必要な沢登り(グレード〜6級)
上級者:ごく一部の困難な渓谷 / 開拓的な沢登り
各レベルごとの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。
これから上級者にあるあなたに

沢登りをするなかで、何度かハードルにぶつかるだろう。
最初に直面するハードルが、ロープワーク、高巻き、藪漕ぎといった沢登りの必須技術。日常生活では触れることのない特殊な技術ばかりで、最初は戸惑うことも多い。しかし幸いなことに、近年はSNSやYouTubeの発展によって、比較的新しく正しい情報が得られやすくなってきている。
一方で、ここでの「上級者」になるためのハードルについては、これまであまり語られてこなかった。とくに、近年の先鋭的な沢登りやキャニオニングでようやく全貌が明らかになってきたような渓谷では、もはや既存の技術と装備の流用では対応しきれない。渓谷専用の技術と装備が必要だ。
ここで扱うような「上級者向けの技術」をブログ記事で安易に伝えることはできない。時には「限界ギリギリ」の、苦肉の策しかない場合だってある。そのため、当記事では装備リストの公開のみに止めようと思う。そのうえで、一つだけ助言をするならば、キャニオニングのシングルロープシステムを学ぶべきだ。
シングルロープシステムを本気で学びたい人は、キャニオニア・探検家・スーパースター「田中 彰」氏の技術講習の受講を強く勧める。
Tips
筆者について

私が沢登りを始めてから、称名廊下や剱沢の遡行、台湾での渓谷開拓に至るまで、渓谷内で様々な試行錯誤を繰り返してきた。そのベースとなったのが、キャニオニングのロープワークと水流の知識であり、沢登りやクライミングに関しては完全な独学である。
改めて思い返すと、これは非常に幸運な経験だったと思う。「従来の常識」に縛られることなく純粋に、渓谷専門の技術であるキャニオニングのタクティクスを、沢登りに最適化させる時間を得られたからだ。
その結果、今私が実践している行為は、現代の沢登りの技術として、一つの技術体系を形成しつつある感触がある。加えて、現代の沢登りにおけるベストに近い装備構成が固まってきた。
だからこそ、その装備リストをここに公開することにした。
魂が震えるようなゴルジュに行きたいと思っている、そこの君。これが装備リストだ。
キャニオニング技術を沢登りに———という文脈が理解できないなら、「キャニオニングとは?沢登りに活用できる渓谷専門技術」を先に読むのがオススメ。
Tips
沢登りの装備:上級編

これ以降は私が近年の渓谷で使用している装備リストを羅列していく。それぞれの渓谷で最適な装備は異なるが、選定基準は当記事の読者であれば察していただけるだろうと思う。
ちなみに、称名廊下の遡行もこの装備で行なっている。
個人的に特におすすめのものは、各装備に製品名を記述する。必須装備だが試行錯誤中のものは「———」と記載。
ハーネス周り(個人装備)
- ハーネス:———
- ナイフ:CRKT「ベアクロー」
- セルフビレイランヤード:PTZL「コネクトアジャスト」+ PETZL「エスエムディ スクリューロック」
- 下降器:PETZL「ピラナガイド」
- タワシ:———
- HMSカラビナ:Black Diamond「ベイパーロックスクリューゲート@2」
- アッセンダー1:PETZL「ベーシック」 + PETZL「エスエムディ スクリューロック」
- アッセンダー2:PETZL「ナノトラクション」 + PETZL「エスエムディ スクリューロック」
- スリング 1:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 120cm」 + PETZL「ロシャ」
- スリング 2:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 240cm」 + PETZL「ロシャ」
※ 以下装備は登攀的な沢のみハーネスで携行。そうでない場合はパッキング
- ピトン・ハーケン:Black Diamond「ナイフブレード#1,#3 計4 / アングル#1,#3 計3」
- ハンマー:MIZO「チコハンマー」
- スリング1:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 60cm」 + Black Diamond「オズ」
- スリング2:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 120cm」 + Black Diamond「オズ」
「ペツルのカラビナって精度高すぎて砂詰まると安全環回らなくならない?」「ヒヤッとしたことはあります。でもこのスルスルの操作感は譲れないっすね」
大西良治 / 鈴木助
記事執筆者PR
唯一無二の渓谷写真集「険谷」シリーズ
唯一無二の渓谷と、そこで展開されるパイオニアワークを、僕たちの情熱とともに一冊にまとめた写真集『険谷』シリーズ。
その第一弾には、GORGE CLUB の2024年の活動から、日本屈指のゴルジュ「剱沢」と「融雪沢」を収録。
日本最高峰と称される「剱沢」では、新たに引かれた水線遡行ラインとそこからの景色を。そして、長らく未踏だった北の大ゴルジュ「融雪沢」では、初登記録と人跡未踏の空間の景色を掲載。
登攀用具(共同装備)
- ダイナミックロープ:———
- ロープバッグ1:GROMMET「トライアングルロープバッグ」
- バックアップロープ: finetrack「フローティングロープ6.5mm」
- ロープバッグ2:GROMMET「ロープバッグ小」※ 未発売
- カム(1セット目):Camalot「Z4 #0.2〜0.75」 + EDELLID「ミッションベント」
- カム(2セット目):Totem「トーテムカム #0.5〜1」 + EDELRID「ミッションベント」※ 必要に応じて持参
- スリング1:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 60cm」 + EDELRID「ミッションベント」@4
- スリング2:MAMMUT「コンタクトスリング 8.0 120cm」 + EDELRID「ミッションベント」@2
※ 以下装備は主にエイドクライミングに使用する。個人的には必携だが、フリークライミング能力に自信があれば不要かもしれない
- Black Diamond「ペッカーS」 + EDELRID「ミッションベント」
- DMM「テリア」 + EDELRID「ミッションベント」
- PETZL「スカイフックS / M」 + EDELRID「ミッションベント」
「タスク、ペッカー持ってたよね、ここ行けそう?リードお願いしていい?」
大木輝一 —— 称名廊下
「なんでミッションベント使ってるん?ワイヤーゲートで良くないですか?」「テンションかかってるスリングに後からクリップするとき、こんぐらいノーズ細くないとだるいやろ」
リュウスケ / 鈴木助 ——融雪沢
ウエア(基本装備)
- ヘルメット:Black Diamond「ベイパー」
- トップス:finetrack「ラピッドラッシュ ロングスリーブ」
- トップス2:finetrack「ドライレイヤー クールT」
- ボトムス:———
- シューズ:mont-bell「サワークライマー」
- 靴下1:モンベル「KAMICOトレッキングスプリットトゥソックス」
- 靴下2:MORGEN SKY「3mm ダイビングソックス」
- 手袋:———
ウエア(温度調整用)
基本
- ウエットスーツ上:ブラックメタリクス「エアースキン」
- ウエットスーツ下:ブラックメタリクス「エアースキン」
- ウエットスーツサポート:ユニクロ「エアリズム ボクサーブリーフ」※ ウエットスーツの上から着用して水の侵入を防止
- リストバンド:finetrack「ラピッドラッシュリストカバー」
- レインウエア上:———
- レインウエア下:———
- ライフジャケット:———
「そのペラいやつ(ブラックメタリクス)そんな暖かいの?俺、3mmフルウエットで寒いんだけど」
鈴木助 —— 五十沢
寒冷期
- ウエットスーツ上:ブラックメタリクス「エアースキン」※2枚重ねで着用
- ウエットスーツ下:ブラックメタリクス「エアースキン」※2枚重ねで着用
- バラクラバ:———
「ブラックメタリクスあればセミドライいらないな」
大西良治 —— 新武呂渓
エクストリーム
- ドライスーツ:mont-bell「スーパー ドライスーツ」
※フリース・インサレーションなどのインナーで、気温により温度調整
※トラブル時のリスクが非常に高い(ドライスーツ全般)ので注意
バックパック
- 〜3泊:RODCLE「Racer LODRINO 40L」
- 4泊〜:RODCLE「TAKAMAKA 55L」
防水バッグ
- SEA TO SUMMIT「ストッパー」(廃盤)
SEA TO SUMMIT「ストッパー」が廃盤になり、代替品が見つからない状況。良い防水バッグをご存じの方はご教授いただきたいです
宿泊装備
- マット:THERMAREST「リッジレスト」
- グラウンドシート:タイベック(90*200cm程度)
マットはバックパック周囲を囲むように収納し、浮力体兼防水バッグの保護として使用。グラウンドシートは軽視されがちだが、砂っぽい場所での着替えやビバークが飛躍的に快適になるため、長期遡行の必須装備。
その他宿泊装備は、個人ごとに許容できる快適性が大きく異なるため言及しない。稜線でのビバークを想定しないなら、基本的にはタープが便利。
「快適性は重要だよ〜休めなかったらしんどいでしょ?」「化繊?俺はダウンしか使わないよ。濡らしたことないし」
大西良治 —— 柳又谷
その他
- ホイッスル「FOX40クラシック」
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唯一無二の渓谷写真集「険谷」シリーズ
唯一無二の渓谷と、そこで展開されるパイオニアワークを、僕たちの情熱とともに一冊にまとめた写真集『険谷』シリーズ。
その第一弾には、GORGE CLUB の2024年の活動から、日本屈指のゴルジュ「剱沢」と「融雪沢」を収録。
日本最高峰と称される「剱沢」では、新たに引かれた水線遡行ラインとそこからの景色を。そして、長らく未踏だった北の大ゴルジュ「融雪沢」では、初登記録と人跡未踏の空間の景色を掲載。
人跡未踏の世界へようこそ!

人類にとっての冒険は、宇宙と海底にしか残されていないと言われて久しいですが、渓谷にはまだまだ人跡未踏の空間が残されています。それも、近年急激に発展した最新の技術でなければ到達困難な、魂の震える空間が世界各地に眠っているのです。
さあ、あなたも人跡未踏の空間へと一歩を踏み出してみては?
【PR】トライアングルロープバッグ

沢登りやキャニオニングにおけるロープワークは、ゲレンデでのクライミングとは異なり、水流に対応した運用が求められます。しかし、現在の日本にはこのニーズに応える専用ギアがほとんど存在していません。
「トライアングルロープバッグ」は、日本のガレージブランド「グロメット」にGORGE CLUBが依頼して開発してもらった、渓谷内でのシビアな環境に対応したロープワークを可能にする専用ロープバッグです。キャニオニングと沢登りをクロスオーバーして実践するトッププレイヤーの大西良治・田中彰 両氏の監修のもと、最先端の現場経験を反映し、リアルな使用環境に適応する構造を追求した製品です。
激流の中でも確実かつ迅速にロープを扱える操作性と、過酷な環境に耐える堅牢性。複雑なロープワークが求められる沢登り・キャニオニングにおいて、頼れるギアに仕上がっています。
レベルごとに記事を用意しています
初級者:沢登りを始める前 / ロープ不要の沢登り
中級者:ロープが必要な沢登り(グレード〜6級)
上級者:ごく一部の困難な渓谷 / 開拓的な沢登り
各レベルごとの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。















